香港蘋果日報本社(Prosperity Horizons, CC BY-SA 4.0 , via Wikimedia Commons)

 香港の民主派紙「リンゴ日報(蘋果日報)」は、6月24日付の新聞を最後に廃刊した。「壱伝媒(ネクストデジタル)」創業者である黎智英(ジミー・ライ)氏は2020年8月に逮捕され、その資産が凍結されている。黎氏の次男の妻である曾美華(Carman Tsang)氏は6月25日のインタビューで、「こんなに早く諦めたくない、できる限りのことをしたい」と述べたとともに、最後までリンゴ日報を応援してくれた香港の読者に感謝の意を表した。

 曾氏はラジオ・フリー・アジア(RFA)の独占インタビューで、最もショックを受けたことは、昨年8月に百人以上の警察が自宅に押し入り、義理の父親である黎氏を逮捕したことだと語った。「警察はこともあろうに、勝手に家に押し入った。このような経験を経て、毎日目が覚めると夢を見ていたと思うようになった。助けてくれる人がいないため、唯一できることは弁護士に電話することだけだった。当時は本当に恐ろしかった」

 曾氏は黎家に嫁ぐまで、ケーブルニュース香港(i-CABLE News Limited)のキャスターを10年間務めた。昨年10月、黎家と壱伝媒にとって最も困難な時期に、「9時半リンゴニュース報道」のキャスターを務めることを決意した。最初は「リンゴ日報」内部からの依頼に応じるつもりはなかったという。曾氏は「黎氏が逮捕された後、黎家や香港メディアの状況を見て、自分は毅然とした人間ではないが、時にはできないと思っていることを、やる勇気も必要だと感じた」と語った。

 曾氏は「家族として突き放してはいけない、家族は最強の後ろ盾であるから。そのため微力ながらも、能力あるいは影響力がまだあるうちに、自分の役割を果たし、できることをやりたい」と話した。

(翻訳・徳永木里子)