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 アメリカ航空宇宙局(NASA)の上級研究員がこのほど、30日間の禁固刑を言い渡された。数ヶ月前、同研究員は、中国共産党(以下、中共)政権の「千人計画」に参加していないと、米検察官に嘘をついたと認めた。

 中共の「千人計画」は、国際的な科学技術人材を集めて自らに仕えさせ、それらの人材を通じて、知的財産権を獲得することを目的している。

 米司法省は、カリフォルニア州のパシフィカ在住のMeyya Meyyappan氏(音訳:メヤ・メヤパン、66歳)が関連機関に虚偽の証言をしたとして、16日に判決を言い渡し、10万ドル(約1100万円)の罰金を科したと発表した。関連機関はそれぞれ連邦調査局(FBI)、NASA監察官事務所(NASA OIG)、米ニューヨーク南部地区連邦検事(USAO)である。

 メヤパン氏は1996年にNASAに加入し、2006年6月まではナノテクノロジーセンターのセンター長を務めた。同年から、カリフォルニア州シリコンバレーにあるNASAエイムズ研究センターの探査技術のチーフサイエンティストを務めている。

 司法省の検察官は、メヤパン氏が中共の「千人計画」参加していたことを明らかにした。また、同氏が中国、韓国、日本の大学に勤めていたことを、NASAは知らなかったという。

 2016年頃、メヤパン氏が「千人計画」に応募し、採用された。検察官によると、同氏は「千人計画」を通じて中国に渡航し、他の人にも参加するよう勧めていた。2014年から中国のある大学で客員教授を務めた期間に講座を開き、研究論文を執筆し、旅費の賞与も受け取っていた。2020年10月、FBIの尋問を受けた際に、「千人計画」への関与や中国の機関に従事したことを否定した。

 オードリー・ストラウス氏(ニューヨーク南部地区連邦検事)は声明の中で、「米国政府の機密技術や知的財産に触れることができるNASAの上級研究員として、メヤパン氏の海外での雇用や報酬が制限されるのは当然である。彼は米国の最先端の技術や知的財産に触れることができる以上、このような特権には守秘義務という重要な責任を伴うものである。メヤパン氏はその信頼を裏切り、海外での活動を開示しなかっただけでなく、FBIやNASAに嘘をついて過ちを重ねた。彼はこれから、違法行為の罪で連邦刑務所に収監される」と述べた。

 中共メディアによると、2008年以降、中共は「千人計画」で世界中で数千人の科学技術の専門家を集めた。米国の安全保障を脅かすとして、米国に密接に監視されている。中共に仕える有望な海外華人や外国人の科学技術専門家を集めるために、中国中央政府や地方政府による「千人計画」に似た招聘計画は数百にも上っているという。

(翻訳・藍彧)