後漢王朝期の天師道(正一道)の創始者である張道陵(絵:看中国/Winnie Wang)

 古代の有名な医学者の中に、実に素晴らしい修道者が多くいました。張天師はその中の一人で、本名は張陵、後に張道陵に改名しました。彼は、後漢王朝期の天師道(正一道)の創始者で、伝説によると、紀元142年に老子の降臨に出会い、《太平洞極経》を伝授され、天師を務めるよう命じられたそうです。

 張道陵が道を修習してからは、人の病気を治すことができ、蜀の地で数万人もの弟子を受け入れました。蜀の人々は純粋かつ淳朴で、道に合致するため、引導されやすかったそうです。彼は強制的な手段で弟子を扱うことなく、道徳と礼儀で人々の行為を引導して規範することにし、そして人々の思想境界を高めました。

 ある年、蜀の地で伝染病が蔓延しました。張道陵は病気に感染した人に対し、自身が生まれてから犯した過ちを一つ一つ思い出して、自ら紙に書き記し、水に投げるようにさせました。そして、過ちと悪事を辞める決意を表させ、万が一再犯した場合の懲罰として、自分の命を終わらせてくれるようにと神様に誓わせました。患者たちは彼の言う通りにやってみたところ、やはり疫病は治りました。この話はすぐさま広がり、人々は皆同じ方法で病気から回復し、感染は鎮まりました。

 この方法で、張道陵とその子孫及び弟子を合わせて、計数十万人の疫病が治りました。この方法は疫病を取り除いただけでなく、人々がより神様を尊敬し、より美徳を重視し善行を積むようになったため、社会の犯罪率も著しく低下しました。

 古代の中国人は、流行性の伝染病を「疫病」と呼びました。『説文解字』では、「疫」を「天下の人民がみな猛スピードで病気にかかること」と解釈しています。そして秦漢王朝期までは、「疫」は一種の「邪気」と認識されていました。「人の心に生じる一念を、天地万物すべてが知る」「頭上三尺に神あり」と言われるように、人が本気で懺悔をすれば、神様はその人がかかる邪気や背後の悪霊を払い除けてくれるので、「疫」も無くなり、自然と病気も治ります。

 新型コロナウイルス(中共ウイルス、SARS-CoV-2)は二年近くも世界中で猛威を振るいました。医薬学界のお手上げ状態の今、古代の張天師が考案した有効な疫病駆除法は、現代の人も参考にできるかもしれません。

(翻訳・清瑩)