米海軍オハイオ級巡航ミサイル原子力潜水艦ジョージア(SSGN-729)(U.S. Navy/Mass Communication Specialist 1st Class James Kimber, Public domain, via Wikimedia Commons)

 オーストラリアは22日、米英との新たな安全保障の枠組み「オーカス(AUKUS)」に基づき、原子力潜水艦を海軍に配備するための合意文書に調印した。

 ピーター・ダットン豪国防相は、英米の代表者と共に合意文書に署名。これにより3か国は、海軍における核推進力に関する機密情報を交換できるようになる。3カ国は台頭する中国に対する抑止力につなげようと、9月にAUKUS創設を発表した。以来、原潜技術に関する合意への正式調印はこれが初めて。

 オーカス協定によると、オーストラリアはステルス性能と長距離任務遂行能力を備えた最新鋭の原子力潜水艦8隻を獲得することになるという。

 この協定により、米国はオーストラリアの最初の原子力潜水艦の建造を支援する。また、人工知能、量子技術、サイバーセキュリティの協力もカバーしている。これは第二次世界大戦後の3国間の安全保障協定の中で最も重要なものである。しかし、オーストラリアが建造するのは原子力潜水艦のみで、核兵器ではないと同協定が強調した。

 米国が潜水艦の技術を共有するのは50年ぶりである(過去にはイギリスとしか関連技術を共有していなかった)。これにより、オーストラリアは米国、英国、フランス、中国、インド、ロシアに続き世界で7番目に原子力潜水艦を保有する国となる。

 これら3国はインド太平洋地域で中国共産党政権の軍事力が日増しに拡大していることを懸念していると指摘するアナリストがいた。アメリカのマット・ポッティンガー元国家安全保障副補佐官の分析によると、中国海軍の弱点であった海中戦能力を備えたオーストラリアに原子力潜水艦を装備することは重要なステップであり、オーストラリアは原子力潜水艦の艦隊を持つことでインド太平洋地域でより長時間のパトロールを行うことができるという。

(翻訳・吉原木子)