装備発展部部長・李尚福中将(Image: YouTube Screenshot)

 中国共産党将軍がロシアと武器購入のための契約を結んだことが発覚した後、米国は同将軍の資産を凍結した。この措置は、ロシアとの武器取引を禁ずる米国の法律に基づいて実行された。

ロシアによる軍事行動に対する米国の制裁

 2017年、米国は「制裁措置によって米国の脅威に対抗する法律」(CAATSA)を可決した。この法律には米国と貿易を行う特定のロシア企業のリストが備えられており、同リストに掲載された企業との取引は一切行わないよう定められている。その企業のほとんどはロシアの防衛・諜報部門に関連している。CAATSAは、米国の選挙を妨害し、シリアの紛争に介入し、ウクライナで野心を剝き出しにする国―「ロシア」を処罰するために可決された法律であった。

 ニューヨークタイムズ紙は、米国務省のヘザー・ナウアート報道官の次のようなコメントを掲載した。
「ロシア政府による悪意ある行為に対処するため、そしてロシアに更なるコストを課すため制裁が行われた」、「米国は引き続き、すべての国に対してロシアの防衛・情報部門との関係縮小を要求する」

 その後2017年12月には、中国共産党と中華人民共和国中央軍事委員会に属する装備発展部はロシアの武器輸出業者「ロソボロネクスポルト社」から10台のSU-35戦闘機を購入したことが明らかになった。そして2018年1月にはS400の地対空ミサイルシステムの購入も判明した。

 米国はこの取引を察知し、装備発展部部長・李尚福中将の関与を突き止めた。これを受け、9月20日には同社と李尚福中将に対し米国内での金融取引が禁じられたのだった。また李尚福中将は米国ビザの取得を禁止され、資産も凍結された。

 米国による制裁はロシアに対して行われたが、米中間の貿易戦争が進行する中、中国へ強い示唆を与えることにもなった。米国は今年4月、北朝鮮と取引のある中国の銀行に対し制裁を検討していたからだ。しかしこの計画は世界の金融市場に潜在的な悪影響を与えると判断され中止された。

中国に多くの制裁を課す米国政府

 米国はまた、米国の知的財産権や企業秘密を盗んだ中国企業に対し制裁を検討していると伝えられている。これらの計画は、「知的財産盗難とスパイ活動を抑制するための政府の取り組みは不十分である」との米国ハイテク企業の不満を背景に進められているという。

 「我々は、半導体産業における中国の知的財産盗難に対処するには関税措置では足りないと考える。知的財産の保護に関し、米国政府がより力強く創造的な措置を導入することを歓迎する。知的財産の保護がなされなければ今日のアメリカ経済は萎縮するだろう。それを忘れてはならない」と、サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙は半導体産業協会のCEO、ジョン・ニューファー氏のコメントを紹介している。

 最近、トランプ大統領は複数の中国企業による米国ハイテク企業の買収を阻止した。これは米国の技術が他国の手に落ち、米国の競争上の優位性が失われるのを防ぐために行われた措置であった。また、米国が5, 000億ドル相当の中国製品に関税を課し、ロシアからの武器購入に追加制裁を加えたことを加味すれば、米国は真剣に中国共産党政権への圧力を強めていることが読み取れる。

(翻訳・今野秀樹)