2020年3月時の新型コロナウイルスの拡散図(イメージ:Wikipedia / Pharexia CC BY-SA 4.0)

 中国は最近「国際旅行健康証明書」、言わば世界で知られている最初の新型コロナウイルスの「ワクチンパスポート」を発行した。

 中国新聞社によると、中国の王毅外相は7日、中国の両会「全国人民代表大会(全人代)と中国人民政治協商会議(政協)」の記者会見で、中国政府が中国版の「国際旅行健康証明書」を発行し、それ関連するWeChatアプリが8日にオンラインからインストール可能だと発表した。同氏は「証明書」には保有者の新型コロナウイルスのPCR検査結果、血清抗体の検査結果、ワクチン接種状況などが記載されると説明した。また、暗号化されたQRコードが含まれており、各国政府がスキャンして関連情報を確認できる。同証明書は電子版の他に紙で印刷することも可能で、現在、世界で知られている初めての新型コロナウイルスの「ワクチンパスポート」である。

 しかし、米ニュースサイト「アクシオス(Axios)」によると、ワクチンのパスポートを有効活用する前に、健康リスクや実用の問題、倫理的な問題など、多くの問題を解決しなければならないと指摘した。特に健康リスクの面では、医療専門家はまだ完全にワクチンの有効性を把握しておらず、特にワクチンは突然変異したウイルスに対処できるかどうかが、まだ証明されていない。

 WHO健康危機対応担当エグゼクティブ・ダイレクターであるマイケル・ジェイ・ライアン氏は、ワクチン接種はまだ世界的に普遍的なものではなく、ワクチンパスポートは何らかの理由でワクチン接種ができない人にとって不公平なものになる可能性があると考えている。そのため、WHOは「ワクチンパスポート」を国際旅行に使用することに反対している。

 さらに、中国が発行した「ワクチンパスポート」は中国当局がグローバル的に政治監視を達成する道具になるかどうかが、疑問視されている。

(看中国記者・黎小葵/翻訳・徳永木里子)