会議中の中国官僚たち(イメージ:Gisling / Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0

 中国の両会「全国人民代表大会(全人代)と中国人民政治協商会議(政協)」開催期間中に、毎年多くの代表や政協委員が不思議な提案を出している。今年は代理母出産の合法化、小学生の宿題廃止、合法的な婚姻年齢の引き下げなどが大きな争議を醸した。

代理母出産の合法化

 中国メディアによると、今年両会で提案された「代理母出産の合法化」が注目を集めた。全人代代表、広東国鼎弁護士事務所の朱列玉弁護士は、「代理母出産の合法化はその違法行為を抑制することができ、違法代理出産の関与者の刑事責任を明確化できる」「代理母は女性のみならず、体外受精も可能だ」と述べた。

 同発言は、朱列玉弁護士が体外受精を全く理解していないことを示した。実際、体外受精でも女性の子宮なしに繁殖できないのである。そのため、同提案は事前調査せずに、数合わせの疑いがあると考える香港メディアもある。

小学生の宿題を無くす

 ある中国政協委員は「全面的に小学生の宿題を無くし、小学校の下校時間を遅らせる」と提案し、批判の声を浴びた。

 中国独立メディア評論家の呉特氏は、「この提案は、保護者、先生ともに受け入れないだろう。中国の生徒への圧力は中国の受験教育制度から来ており、宿題を無くしても、軽減されることはない」と述べた。

婚姻年齢の引き下げ

 政協委員で広東財経大学法学院の魯暁明副院長は、中国の深刻な高齢化問題を緩和する方法として、法定婚姻年齢を18歳(中国の合法結婚年齢は男22歳、女20歳である)に引き下げることを提案した。

 ネットユーザーからは「18歳で結婚が合法化?子どもを産んでどうするの?宿題をしてから赤ちゃんにミルクあげるの?子どもを大学に連れて行くのか」「10年働いても50平米の家を買えず結婚できずにいるのに、18歳で結婚させたら経済的困難な夫婦ならどうやって子どもを育てるのか」など非難の声が上がった。

 「奇抜な提案は毎年ある。これらの提案者が好き勝手に言い放題にして国民を怒らせることを恐れないのは、彼らは中国共産党政権によって任命されたのであって、市民に投票で選ばれたのではないからだ」というコメンテーターもいた。

(看中国記者・董林杉/翻訳・北条)