北朝鮮の指導者金正恩(イメージ:Pixabay CC0 1.0)

 北朝鮮中央通信の報道は11日より、北朝鮮の最高指導者である金正恩氏の肩書きを「委員長」から「大統領」に変えた。同通信は17日英語版の記事で、金正恩(キム・ジョンウン)氏が、父である金正日(キム・ジョンイル)氏の79歳の誕生日を記念して霊廟「錦繍山太陽宮殿」を訪れたことに言及した際、金正恩氏の肩書きを「委員長(chairman of the State Affairs Commission)」から「大統領(president of the State Affairs)」に変更した。

  韓国の国家情報局は16日、北朝鮮が金正恩氏の肩書きを「大統領」に変更したことを報じた。おそらく国際社会で国家指導者に対する呼び方に合わせるためだと考えられます。

 聯合ニュースによると、最近、国際社会に合わせるために、北朝鮮のメディアが政治家や政府部門の名称を変更することや、その他の変更された点が見られます。例えば、「人民軍省」を「国防省」に、金日成氏と金正日氏の肖像画を党の紋章に置き換え、会議終了時に国際歌『インターナショナル』を流すようになったことが挙げられます。

 北朝鮮のこれらの行動は、おそらくより一般的に国際社会に受け入れられる形で、通常の共産主義国のイメージチェンジを狙っていることが伺えます。

 しかし、アメリカやフランスのように、すべての市民によって選出された国の指導者は大統領と言いますが、現在、北朝鮮にはすべての市民が参加できる選挙制度がなく、金正恩氏は選挙を通じて「大統領」の地位を獲得したわけではありません。したがって、「大統領」に変更しても名ばかりのもので、北朝鮮の政治体制を理解していない外国人を騙し、外国人の支持を得ることを目的としています。

 トランプ前米大統領が就任した当初は、中国の指導者習近平氏を大統領と呼んでいました。しかしその後、中国共産党の正体を知り、習近平氏を中国共産党総書記と呼ぶようになりました。つまり、習近平氏が一般的な意味での国の大統領ではないことを強調しました。同時に、トランプ前大統領は中国共産党に対して貿易戦争を開始し、多くの領域で厳しい制裁を科しました。現在、独裁政権で国民を圧迫し、核兵器の開発で世界平和を脅かしている状況下で、金正恩氏は自分の肩書きを変えたことで民主主義の国による制裁を免れるでしょうか。

(文・黎宜明/翻訳・神谷一真)

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