ジョー・バイデン大統領(Gage Skidmore from Surprise, AZ, United States of America, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons)

 就任したばかりのジョー・バイデン大統領は、1月20日の就任式の日に、8年以内で米国に帰化する道を与える移民法案を発表し、約1100万人の非正規移民に大きな贈り物をすることを計画している。就任後、数百ページに及ぶ移民法案を議会に提出する予定である。

 複数のメディアの報道によると、バイデン氏の動きは、トランプ前大統領が課した厳しい移民政策を大幅に覆そうとするものだといった。同法案で、2021年1月1日時点でまだ合法的な在留資格を持たず、米国に居住している人は、身元調査に合格し、納税などの基本的な要件を満たせば、5年以内に一時的な在留資格やグリーンカードを付与される可能性がある。

 この法案によると、米国政府は、一時保護ステータス(TPS)と若年移民に対する国外強制退去の延期措置によって保護されている非移民に、グリーンカードを直ちに発行することになる。

 バイデン氏は、国境の壁建設の停止、移民・関税執行局(ICE)への強制送還の停止、北部トライアングル諸国(グアテマラ、ホンジュラス、エルサルバドル)との協力協定の終了など、トランプ氏の移民政策を抜本的に変えると述べた。

 一部のアナリストは、民主党が支配する下院で法案が通過する可能性が高いが、上院での通過の見通しが不透明だと考えている。

 共和党のトム・コットン上院議員は、最近のツイートですでにバイデン氏の法案を批判した。何百万人の不法移民に恩赦と公民権を与え、遵法的な移民を超えることを許可することは、まさに国境なき党が求めているものであり、「完全な恩赦、アメリカ人の健康と安全を顧みず、強制力ゼロだ」と述べた。

 過去4年間でトランプ前大統領は、不法移民との戦いを優先課題の一つとし、移民保護議定書(MPP)を導入し、米国国境への難民の流入を事実上排除し、阻止してきた。トランプ氏はまた、この政策を覆せば国境で不法移民の急増につながると警告した。

 税関国境警備局(CBP)のマーク・モーガン長官代行も警告した。「MPPがなくなる場合、それは絶対に壊滅的なことになるだろう。」

 バイデンが就任する直前、少なくとも9000人のホンジュラス難民がグアテマラ国境を突破し、米・メキシコ国境に向かって押し寄せた。

(翻訳・徳永木里子)