消防車(イメージ / Pixabay CC0 1.0)

 1953年11月13日朝3時、デンマーク首都コペンハーゲンの消防隊にある電話がかかってきました。

 22歳の若い消防士のエーリッヒが当番中でした。

 「もしもし、コペンハーゲン消防団です」

 返事がなく、エーリッヒには一つ重い息の音しか聞こえませんでした。突然電話の向こうから「助…助けて!私は立てれない!血が出てる!」と救助を求める声がしました。

 「落ち着いてください!奥様、すぐに立ち向かいますので、住所を教えていただけますか?」

 「分からない」

 「お家にいらっしゃいますか?」

 「多分、家にいると思う」

 「ご住所の郵便番号はご存知でしょうか?」

 「分からない、めまいがして…血が流れている」

 「お名前を教えてください!」

 「覚えてない、頭をぶつけた」

 「電話を切らないでください」

 エーリッヒはすぐに他の電話を使って、電話会社に連絡しました。

 「もしもし、今通話中の電話番号を調べてもらえますか?」

 「ごめんなさい、私は夜勤警備で、そんなことができません。今日は週末で、他に誰にもいません」

 電話を切ったエーリッヒはもう一つの案を考えました。彼は電話の向こうの女性に「どうやって消防の電話番号がわかりましたか」

 「電話機に書いてある、転がって見えた」

 「電話機の上にお家の電話番号が書いてありますか?」

 「ない…他の電話番号がない、早く来てください!」女性の声が段々と弱まっていきました。

 「他に何が見えるか教えてください」

 「窓から…街の…街灯が見える」

 エーリッヒはすぐに分析し始めました。家の方向は街向き、しかも街灯が見えることから、きっと高くないアパートにいる、「窓の形は正方形ですか」とさらに訪ねました。

 「いいえ、長方形」

 ならば、きっと旧区内だとエーリッヒは考えました。

 「室内の電気をつけていますか?」

 「はい、つけてる」

 エーリッヒは質問を続けようとしましたが、返事の声がなくなってしまいました。

 エーリッヒは上司に電話をかけて、経緯を話しました。

 上司は「それならどうしようもない、見つかるわけがない。彼女のせいで私達の一つの回線が使われて、どこかで火災が起こったらどうすんだ」と不機嫌になりました。

 しかし、エーリッヒは諦めたくありません。命を救うことが消防士の責任です!彼はそう教わってきました。

 突然、彼はあるアイデアを思いつきました。すると、全ての消防車を出し、警笛を鳴らせるよう上司に要請しました。

 上司は「こんな深夜で、しかもコペンハーゲンのような大都会で、人々は核戦争でも起こったのかと思う!」と驚きながら答えました。

 「お願いします!早くしないと、全てが無駄になります!」とエーリッヒは曲げませんでした。

 上司はしばらく沈黙したあと、「分かった、そうしょう、すぐ向かう」と同意しました。

 15分後、20台の消防車が都市中を回りながら警笛を鳴らしました。

 電話の向こうの女性はもう何も話せず、ただ急速な呼吸だけが聞こえます。

 10分後、エーリッヒは「電話から警笛の音が聞こえます!」と叫びました。

 隊長は通信機で「1号車、警笛を止めて!」と指示しました。

 「警笛の音まだ聞こえます!」

 「2号車、警笛を止めて!」

 「まだ聞こえます!」

 第12号車が警笛を止めた途端、エーリッヒは「今聞こえなくなりました」と言いました。

 隊長は再び「第12号車、もう一回警笛を鳴らせ」と命じました。

 「また聞こえてきましたが、音が遠のいています!」

 「12号車引き返して!」

 「警笛の音がはっきり聞こえます、音はとても大きいです、多分その通りにいます」

 「12号車、電気がついている窓を探し出せ!」

 「ほぼすべてが電気をつけています、人々は起こされています」

 「スピーカーでアナウンスしろ!」

 「皆さん、私達は救助を待っている女性を探しています。今電気がついている部屋を探しています、電気を消すようにご協力をお願いいたします」

 すると、一つの窓以外、全ての窓の明かりが消えました。

 その後、エーリッヒは消防士が部屋に入った音が聞こえました。

 「この女性は意識を失いましたが、脈がまだあります。今すぐ病院に運びます、救えると信じます」

 救われた女性の名前はヘレン・ソンダ氏です。数週間後、彼女は目覚めて、記憶も回復しました。

 本当にやろうとすれば、きっと何か解決法が見つかります。一方でやりたくなければ、言い訳も必ずあります。

(翻譯・白鷺)