(イメージ / Pixabay CC0 1.0)

 とても特殊な深海魚が発見された。体全体が超黒で、その体表は99.5%以上の光を吸収して反射しない。太陽光の届かない深海では、ほぼ完全に見えないだろう。

 7月16日に発表された「現代生物学」(Current Biology)定期刊行物の研究報告によると、比較的太陽光が届く浅・中層水域において、魚類は自らの透明度を高めるか、鱗の鏡面反射光により偽装するが、この方法は太陽光が届きにくい深海では通用しない。そのため、一部の深海魚がまったく別の方法で身を隠すことが分かった。

 アメリカの動物学者カレン・オズボーン(Karen Osborn)はこの分野を6年間研究した。メキシコ湾やモンテレー湾で、底引き網で超黒の深海魚を捕獲し、キャノンのカメラに特殊なレンズをつけて数千枚の写真を撮った。だが、オズボーンは「角度や照明をどう調整しても光が吸収される」と言い、超黒の深海魚の写真がなかなか上手く撮れなかった。

 その後、デューク大学と共同で研究を行い、これら魚の皮膚が99.5%の光を吸収することを発見した。これら魚の皮膚のメラニン細胞は、吸光率と屈折角度の2つの因子によって、すべての光を吸収する。これらのメラニンの粒子の大きさや形にはこだわりがあり、どのような最初の時間に吸収されない光線も、それらの表面を通って屈折した後、隣り合うメラノソームに吸収される。

 このチームは、この研究結果を利用し、より耐久性のある安価な極黒材料を開発し、カメラや望遠鏡、ステルス技術などの分野で役立てようとしている。

「超黒の深海魚」に関するYouTubeの動画:

Why this deep sea fish has scientists stumped

(翻訳・柳生和樹)