10月19日、北京市朝陽区の「優勝教育」本部に大勢の保護者が集まっている。(ネット写真)

 中国共産党の重要な会議、第19期中央委員会第5回全体会議(5中全会)直前の19日、北京市朝陽区の「優勝教育」本部に大勢の保護者が集まり、警察と抗議者の衝突が発生した。予備校を運営する中国の有名な教育機関「優勝教育」が経営不振により、本部の人員が「夜逃げ」したことが明らかになった。

 香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、今回の抗議活動は授業料の返済を求める保護者らが中心。一時道路の渋滞を引き起こし、現場には封鎖ラインが張られ、多くの警察官が警戒していた。19日深夜まで、優勝本部にはまだ大勢の保護者や警察官が対峙していた。

 中国メディア財新網によると、19日、北京の優勝教育本部には3000人以上の保護者のほか、給与が滞っている優勝教育の従業員もいたという。

 現場の保護者によると、授業料を前払いしていた人は、2~3万元(約50万円)という少額の人もいれば、10万元(約160万円)以上の人もいた、さらに40万元(約640万円)以上払った保護者もいた。今のところ払い戻しできていない。

 また、優勝教育北京本部の前払い授業料が不完全な統計によると900万元(約1.4億円)以上あると保護者が曝露した。現在「お金を持って逃げた」と噂されており、これが保護者の怒りを買っている。

 実は優勝教育の北京本部の 「夜逃げ」事件は、何の兆しもなかった訳ではない。今年10月だけでも、ハルビンや瀋陽など多くの優勝教育の分校で「夜逃げ」事件が相次いでいた。

 数千人の教師を雇用し、多数の分校を持っている教育機関が、なぜ「夜逃げ」したのか。

 「優勝教育」は2019年下半期から糾弾がすでに多発していた。主に授業料の返金が困難であるや学校の運営不振、従業員への賃金不払いなどが挙げられる。2020年に中国で発生した武漢肺炎(新型コロナウイルス感染症)により、対面授業を中心とした優勝教育が再び衝撃を受けた。

 北京市海淀区市場監督管理局は10月13日、消費者警報を発表し、現地の予備校業界のクレーム率が高い機関を明らかにした。その中でも優勝教育がダントツ1位で、しかも3回もリストアップされていた。その苦情件数は193件、解決率は3.63%に留まった。

 同時に、優勝教育の経営主体である北京優勝輝煌教育科学技術有限公司の法定代表者が突然、陳昊から唐芳瓊に変わった。これに対して、会社からも、責任者本人陳昊からも何の説明もなかった。

 さらに、今年上半期には、優勝教育は上場企業の再編にも巻き込まれた。当時、深セン証券取引所は、欺瞞的な企業再編があったかどうかについて、同社とその取引先に疑問を呈していた。

(看中国記者・黎小葵/翻訳・藍彧)