中国共産党総書記・習近平(イメージ:Wikimedia Commons/Foreign and Commonwealth Office/CC BY 2.0

 中国共産党の習近平総書記は14日、深セン市内での演説で、全面的に開放を拡大し、改革を深化させると述べたが、同時に今後は経済の内部循環に重点を置くべきだと強調した。海外のアナリストは、習が「改革開放」という名目で党内外の支持を獲得し、深セン経済特区の改革開放の成功を手本に、中国で社会主義が実現可能であることを証明し、深セン経済特区が経済内部循環の中で他地域の経済発展に拍車をかけることを期待していると指摘した。

 2020年は深セン経済特区の設立40周年を迎える。習近平は14日、深センでの演説で、全面的に開放を拡大し、改革を深化させる必要があると述べたが、深センはこれまでの輸出主導の発展方向を明確に調整する必要があり、今後は主な内部循環を主体とし、産業配置は中国本土の内部市場をより重視すべきだと強調した。

 改革開放と内部循環の両方とも必要不可欠とは、習近平はいったい何を示したいのか、これを受けて、海外のアナリストは習近平の演説を詳細に分析した。

 習近平は近年、一般国民を残忍に弾圧しただけでなく、共産党幹部の利益を損なうような一連の政策を実施してきた。その結果、習近平は現在、権力が極めて不安定な状態にある。六四天安門事件後、鄧小平は中国の公式メディアに対し、デモをしていた学生が共産党を打倒すると叫んだが、改革開放を打倒するとは公言していなかったと語ったことがある。現在の中国共産党政権の正統性は、改革開放だけが残っているといえるだろう。そのため、党内外の支持を得るために、習近平は改革開放の話題を持ち出さなければならなかった。

 習近平は演説の中で深セン特区の10の成功要因のうち、1つ目は「社会主義を堅持する」、2つ目は「中国共産党の指導力」と指摘した。

 これに対し、深センの今日の成功は「社会主義の堅持」や「党の指導」の結果ではないと指摘するアナリストもいる。それどころか、当時の中国共産党の指導者は深セン経済特区が中国共産党の管理モデルを放棄することを許可し、西洋民主国家の管理モデルを導入し、民間企業の発展と深セン特区への外国資本の参入を許したことで、深セン特区を急速に発展させた。つまり、深セン特区の特殊性は、中国共産党の支配力を極めて弱めたことにある。もし「社会主義」と「党の指導」を堅持すれば、深センは中国の他の地域と何の違いもなく、ここまで発展することはなかっただろう。

 アナリストはまた、習近平は「革新」を繰り返し強調しているが、中国共産党体制には「革新」というものは存在しないと指摘している。中国共産党の中国国民に対する思想統制は、中国人の独立な思考力と革新的能力の欠如を全般的にもたらした。共産党の管理スタイルは中国国民のわずかに残っている創造的な能力を制限した。その結果、中国共産党は外国の高度な技術を盗むことで自分の不足を補うしかない。米中関係の緊張が高まる中、経済の内部循環を打ち出して中国の経済発展を維持し、経済が高度に発達した深セン経済特区を頼りに、国内の他の地域の経済発展に拍車をかけようとしている。

 したがって、習近平は「党内外の支持を得るために「改革開放」という名目を使い、深センの成功は社会主義の実行可能性を証明するために、これを利用しているに過ぎない。しかし、深センが中国共産党の経済内部循環で「社会主義」を実施すれば、深センの繁栄はなくなり、深圳にとっては災難しか残らないだろう。

(看中国記者・黎宜明/翻訳・藍彧)