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 近日、米国ニューヨーク市警察局に勤めていたチベット生まれのバイマダジ・アンワン(Baimadajie Angwang)容疑者は、中国共産党のために情報収集し、米国に住んでいるチベット人を監視した疑いで逮捕・起訴された。

 アンワン容疑者は、9月21日にニューヨーク市ロングアイランドの自宅で逮捕され、午後にニューヨーク東部連邦裁判所にビデオで出廷したという。彼は2014年8月以来、中国共産党の代理人を務め、電信詐欺、虚偽の陳述を行い、公式手続きを妨害したとして告発された。有罪判決となった場合、最高55年の懲役となる。

 中国外交部スポークスマン汪文斌が22日の定例記者会で、米国の起訴は「完全なる偽造」だと主張した。しかし、米国の指摘に具体的な反論を示さなかった。 

 ニューヨーク・タイムズ紙によると、アンワン容疑者(33)はチベット生まれで、中国語にも精通していた。初めは文化交流のビザで渡米し、ビザが切れてからチベット出身のために拷問を受けたと主張し、政治庇護を申請し米国国民となった。彼はかつて米国海軍陸戦隊で5年服役し、2016年に巡回警官としてニューヨーク市警察に入った。直近の職務はニューヨーク市クイーンズの第111地区の地域担当官で、同時に米陸軍予備軍(US Army Reserve )でもあり、「機密資料」にアクセスする権限があった。

 昨年、身元調査書類を提出したとき、アンワン容疑者は外国政府との連絡を否定し、中国にいる家族との連絡も否定した。しかし、ニューヨークの検察官は、調査によりアウンワン容疑者が亡命申請の許可を得た後、何度も中国に戻ったと指摘した。加えて、彼の両親は実は中国共産党員であり、彼の父親は中国軍の退役軍人であり、母親は引退した政府官僚であり、弟も中国軍の予備兵であることが判明した。検察はまた、アンワン容疑者が中国の家族と重要な経済的関係を持っていることを発見した。彼は2016年4月20日、中国の弟の口座に10万米ドルを送金し、同年5月に別の中国の口座5万ドルを送金した。彼と彼の妻の口座にも中国から数回多額な送金があった。

 FBIの調査によると、少なくとも2014年から、アンワン容疑者はニューヨークの中国総領事館の指示を受けており、職務の便宜を利用してニューヨークのチベット人コミュニティを監視し、中国共産党に奉仕する意思のある人々を募集していた。ニューヨーク地区のテレビチャンネル「WABC」は、2018年以降、アンワン容疑者が少なくとも2人の中国当局者と頻繁に連絡を取り合っていると報道した。そのうちの1人は中国共産党統戦部の「中国チベット文化開発保護協会」に所属しており、アンワン容疑者が「ボス」と呼んでいる。

 また、FBI文書に記載されているアンワン容疑者の通話の傍聴内容によると、彼は10年間米国ビザという条件で現地チベット人をスパイとして召集することを中国当局に薦めた。ニューヨーク毎日新聞は、2018年10月にアンワン容疑者が中国当局に新しいチベットコミュニティを紹介したと報じた。

 これに対し、ニューヨーク市警察局長ダーモット・シアは21日、アンワン容疑者の行動が米国政府、米国軍隊、ニューヨーク市警察局に対するすべての誓約に違反したと述べた。

 チベット亡命政府台湾事務所の代表であるダワカイレン氏は22日、ラジオ・フリー・アジアに対し、この事件は初めてではないと語り、アンワン容疑者は自分の民族と彼を受け入れた米国を裏切ったと批判した。

(翻訳・北条)