(イメージ / Pixabay CC0 1.0)

 とある夫婦が、幼い娘を故郷に連れ帰るため、長距離電車に乗っていました。その後もさらに別の電車に乗り換え、途中で宿泊する場所を見つけて一泊し、さらに翌日も電車に乗り続けなければなりません。夫婦は宿泊先を探しながら「将来お金持ちになったら、5つ星ホテルに泊まりたいね」と言いました。

 しかし現実は、使えるお金があまりないため、落ち着けそうな、ごく普通のホテルにしか泊まれませんでした。そんな両親の会話を聞いた幼い娘は、両親に質問をしました。彼女は五つ星ホテルが何かを知りませんが、両親はそれが良い場所であるに違いないと思っていることは分かります。それで、彼女は父に五つ星ホテルの何が良いのか尋ねました。

 父は、「とても大きくて清潔で、快適なベッドがある」と答えました。すると女の子は、「うちのベッドも大きくて清潔で快適だよ」と言いました。

 「五つ星ホテルのトイレは、清潔で整頓されていて、使いやすい」と母は付け加えました。女の子は母が言ったことを繰り返し、「それもうちと同じだよ」と言いました。

 さらに父は、「五つ星ホテルには冷蔵庫などの家電がある」と言いました。女の子は、「うちの家にも冷蔵庫はあるよ」とうなずきながら返事をしました。

 すると夫婦は互いに微笑み、話していくうちに、五つ星ホテルと我が家の間にそれほど違いはないことに気付いたのでした。五つ星ホテルが最高だと感じるのは自分たちの虚栄心であり、それを追求するあまり、既に自分たちは最高のものを持っていることを忘れていたのです。

 そのことに気付いた両親を見て、女の子はうれしくなりジャンプしました。毎日五つ星のホテルに住んでいることが分かったからです。子供の喜んでいる顔を見た親は、まるで天使のようだと思いました。子供は天使の目を持ち、偏見や貪欲に惑わされることなく純粋な言葉を話すので、ごく普通の日常生活の中に、多くの美しさを見つけることができたのです。

(翻訳・玉竹)