国務院の韓正副首相(Wikimedia Commons / Kremlin.ru / CC BY)と中国人民政治協商会議議長の汪洋(パブリック・ドメイン)

 米共和党下院議員は、中国共産党(中共)幹部に対する制裁を提案した。中国共産党の最高権力機関である中央政治局の党員25人全員とその家族に対し、米国ビザの制限や米国における財産の凍結、取引の禁止などが含まれている。

 6月10日、米下院の約150人の議員で構成された「共和党研究委員会」(the Republican Study Comittee)は、「米国の強化と世界的な脅威への対応」という国家安全戦略報告書を発表した。

 報告書には、「中国共産党党員のビザを全面的に禁止すると思わぬ結果を招く恐れがあるとし、中共幹部を中心に、中央政治局委員25人、中央委員会205人と候補委員171人、及び中共19回全代会を含む2280人とその配偶者及び子どもがビザ発給禁止の対象となる」と表記されている。

 さらに、「米国国会では中国側が米国の大学や研究機関から知的財産を盗む行為が終わるまで、中国政府の高官、現役軍人、及び直系親族のビザ、特に学生ビザ、観光ビザの発行を停止する」と書いてあった。

 これは米国議会が中共に課した史上最も厳しい制裁である。この動きは「中共の米国利益破壊への反撃、世界秩序の立て直し、ガバナンス理論を推進するための行動」を目的としている。

 国際メディアの報道によると、台湾の政界筋陳昭南氏は6月15日に発表した論説の中で、国務院の韓正副首相が米国に所有する資産は31億ドルに達し、「クリーン」と見られてきた共産主義青年団派の人物で、中国人民政治協商会議(CPPCC)議長の汪洋氏も米国に数十億ドルの預金と資産があると述べている。ネット上には多くの中共幹部やその親族の資産を含むリストが広範囲に公開されている。 噂によると、このリストに集計された中共幹部らの在米資産総額は5000億ドルに上ると言われている。

 米国が中共の高官を制裁するにあたり、資産を凍結するという抑止力は、中共機関への制裁や香港の特別な地位を廃止するよりはるかに作用が大きい。まさに「釜底抽薪(ふていちゅうしん)(注1)」の対策だというコメントもある。 これは中共幹部らへの痛手だけでなく、中国共産党政権の解体をも後押する。

注1:「釜底の薪を抽(ぬ)く」徒に正面攻撃を行わず、まず致命的弱点を探してそこを討つという意味 。

(看中国記者・苗薇/翻訳・藍彧)