新型コロナウイルスの新たな変異株「PJ.2.1」の影響で、中国北部では重症患者が急増しています。中国のあるウイルス学者は、内部データでは感染後の突然死が大幅に増えているにもかかわらず、当局が流行を隠蔽し、死因を「心停止」や「心筋梗塞」「脳梗塞」などとして発表していると指摘しています。

 先日、北京大学の曹雲竜氏が率いる昌平実験室の研究チームが、PJ.2.1に関する研究報告を発表しました。ウイルスは通常、時間をかけて少しずつ変異するとされていますが、この報告では、PJ.2.1は一気に多数の変異を獲得し、突如として現れた可能性があると指摘されています。そのため、これまで確認されてきた株とは性質が大きく異なるということです。

 ウイルスが人に感染するには、まず細胞の表面にある「ACE2」と結びつく必要があります。これは、鍵を鍵穴に差し込んで初めてドアが開くようなものです。報告によりますと、PJ.2.1がACE2に結びつく力は、現在流行しているほかの株よりも明らかに強いとされています。中国のウイルス学者、王さん(仮名)は次のように話しています。

 「PJ.2.1のACE2結合力は過去最強で、現在流行中の全変異株より強いです。つまり、逃げ切れないということです。細胞にあっという間に張りついて入り込んでしまいます。北部ではすでに重症者が大量に出ています。その数はうなぎ登りです。」

 報告によると、PJ.2.1は2024年に流行した株にルーツを持つとされています。カナダで免疫力が低下した患者の感染が長引くなかで、変異を重ねて生まれた可能性が高いとみられています。その後は下水調査を通じて、大陸をまたいで広がっていることも確認されました。感染者の排せつ物にはウイルスが含まれるため、下水中のウイルス量を調べることで、その地域でどの程度感染が広がっているかをおおよそ把握できます。

 王さんによりますと、中国各地の下水調査データでは、PJ.2.1は8月中旬にピークを迎え、その後も高い水準が続いています。特に北部で深刻な状況がみられるといいます。現在は、感染状況の監視を担う「定点医療機関」に医療資源が集中しているとのことです。さらに、研究室の内部データでは、感染者の突然死が急増しているそうです。

 「河北省と山西省では、患者の増加が続いています。重症者の多くは河北大学附属病院に集中しています。ほかから転院してくる患者もいます。PJ.2.1に特化している重要な病院なんです。他にも吉林省や遼寧省にも同様に特化した定点医療機関があります。一度感染すると別の病気を引き起こしてしまう可能性があります。今、1番多いのは心停止で、その次が、様々な梗塞で、脳梗塞も含め、血管系の異常が急増しています。」

 王さんはさらに、この報告を読んだウイルス学者や医師の多くが、深刻な内容に強い衝撃を受け、眠れないほどだったと明かしました。それにもかかわらず、当局は感染状況を隠し続け、国営メディアは沈黙を守り、情報を公表した人に対しては弾圧が加えられ、発信が封じられているといいます。

 「情報が隠されているため、事態はすでに深刻な段階にまで悪化しています。それにもかかわらず、今なお国内では何が起きているのか知らない人が多いです。私達はこれまでも同じような経験を何度もしてきました。当局より先に実態を伝えればデマだと決めつけられます。データを示してもデマ扱いされます。私達がここまで、どれだけ苦労してきたことでしょうか。」

 王さんによりますと、PJ.2.1は空気感染し、有効な特効薬もないため、持病のある人が重症化した場合の死亡リスクはかなり高いといいます。さらに、病院など人が密集する場所では、N95マスクでなければ十分な予防効果は期待出来ないとのことです。

(翻訳・吉原木子)