9月3日、暴風雨を伴う台風18号が福建省沿岸に上陸しました。今回が3度目の上陸です。3日午前6時半ごろ、台風の中心は福建省漳浦県の古雷半島沿岸に達し、中心付近の最大風速は20メートルを超えていました。福建省では台風に備え、大中型ダム216カ所で事前放流を実施しましたが、各地で市街地が冠水し、多くの店舗や住宅が浸水したほか、大量の車が流されました。
この台風は、進路や勢力の変化が異例でした。8月28日に浙江省台州に上陸した後、浙江、福建、江西、広西など各地に暴風雨をもたらし、深刻な水害を引き起こしました。8月30日には勢力が弱まり、熱帯低気圧に変わったとして台風番号も外されました。しかし、そのまま消滅するかに見えたこの台風は、9月1日に南シナ海西部で再び発達し、広東省西部の沿岸に上陸しました。その後、再び福建省へ向かったのです。
住民の間で反発が広がっているのが、当局によるダムの放流です。ネット上には、「福建の血も涙もない放流のせいで、何万台もの車が流された。街では水が2階まで来ている」と批判する投稿も見られました。3日の時点で、福州、泉州、漳州など6市の22河川、26観測地点で警戒水位を超える洪水が発生し、超えた幅は最大で7メートルを上回りました。福建省ではそれ以前から数日にわたって強い雨が続いており、各地はすでに深刻な浸水状態にありました。
9月2日、福建省の点頭鎮でも深刻な水害が発生しました。町の各地で水があふれ、濁流にはごみやさまざまな漂流物が混じっていました。通りに面した1階の店舗や住宅が浸水し、多くの乗用車やトラックが流されました。水深は深い所で3メートル近くに達し、水位は2階付近に迫るほど上昇したため、通り沿いの店舗は内部まで水につかりました。現地では2日午前8時から、仕事や生産、授業、市場の営業が一斉に停止され、路線バスも全面運休となりました。住民の避難も進められ、1000人を超える人たちが順次避難しています。
同じ3日、福建省莆田市仙游県でも大規模な洪水が発生しました。映像では、道路が濁流にのみ込まれ、取り残された住民の姿や、浸水した家屋や車が確認できます。福建省寧徳市でも被害は深刻で、市街地の広い範囲で冠水し、3階建ての住宅が洪水の中で崩れ落ちました。
被害は福建省内にとどまりませんでした。浙江省温州市瑞安市などでは、累積雨量が300ミリを超え、豪雨による深刻な浸水被害が発生しました。複数の靴工場が浸水し、靴箱や商品が水に流され、住民が水をかき分けながら拾い集める様子も見られました。9月2日には、現地のネットユーザーが「ほかの所では水が出れば魚を捕るが、うちでは水が出れば靴を拾う」とのコメントを添え、その様子を撮影した動画をSNSに投稿しています。
雨が降り続くなか、通りには水があふれ、場所によっては水位が膝上まで達していました。濁った水面には緑色の靴箱や色とりどりの靴が大量に浮かび、市民が傘を差しながら深い水をかき分け、道端に流れ着いた靴を拾い集める様子も見られました。地元メディアによると、2日夜、近くのスーパーの従業員は、豪雨で周辺の靴工場が相次いで浸水し、工場内の靴が流れ出して通りの水に浮いていると説明したうえで、「何百箱も流された。損害は10万元から20万元ほどになるのではないか」と話しました。日本円では、およそ200万円から400万円にあたります。
この従業員によると、路上に散乱した靴の多くは、通りかかった人たちが拾って持ち帰ったといいます。通り沿いの店主も、「この一帯は靴の製造が盛んな工業地区だ」と話し、今回の豪雨で工場地帯が大きな打撃を受けたと語りました。地元では雨がなお続き、道路にたまった水も引いていません。浙江省のネットユーザーからは、急な増水で工場の商品が大きな被害を受け、靴工場の経営者たちが長い間苦労して積み上げてきた在庫が、一晩で水につかって使いものにならなくなったとする書き込みも出ています。
一方で、この状況を逆手に取る動きも見られました。工場が浸水したある靴メーカーの経営者は、水につかった現場に立ったままライブ配信を行い、その場で靴の販売を始めました。同時視聴者数は一時2万人に達したとされています。ネット上では、「温州の人はしぶとい。こんな状況でもライブ配信を忘れないのか」といった反応のほか、「温州の人はやはり商売がうまい、苦しい状況でもへこたれない。」という声も上がりました。その一方で、「売れてもどうやって発送するのだろう」「倉庫が水につかって出荷できないのではないか」と懸念する声も出ています。
(翻訳・吉原木子)
