台風18号の影響で、中国福建省の点頭鎮は、9月1日夜から2日未明にかけて激しい洪水に見舞われました。濁った泥水は、ごみを巻き込みながら通りにあふれ、店のシャッターを押し破りました。多くの乗用車が流され、屋根だけが水面に出た状態になっています。「中国白茶第一街」と呼ばれる商店街も一帯が水につかり、茶葉店は軒並み大きな被害を受けました。住民の多くは、ここ20年余りで最悪の水害だと話しています。
 ネット上に投稿された映像には、通りが川のようになった様子が映っています。水に押されて乗用車が流され、シャッターが壊れた茶葉店からは、箱に入った商品が次々と流れ出していました。被災した黄さんによると、1日午後11時ごろからバケツをひっくり返した様な激しい雨が何時間も降り続き、5時間から6時間後には町の道路が水没しました。深い場所では水位がおよそ3メートルに達し、2階に届きそうな高さだったといいます。多くの住民は就寝中に異変に気づき、目を覚ましたときには、すでに水が1階の半分を超える高さまで来ていました。住民の張さんによると、雨は1日の夕方から翌朝まで降り続き、深夜1時から2時ごろに水位が上がり始め、3時ごろにはすでに1階の半分ほどの高さに達していたといいます。張さんは、特に店の被害が深刻だったと話しています。運び出せなかったお茶はほとんど水につかり、車も多くが流されたということです。事前に移動させた車もあったものの、被害は避けられなかったといいます。地元の女性も、30分ほどで水が1階まで押し寄せ、荷物を運び出す時間はまったくなかったと語りました。店はどこも1階にあるため、中の商品はすべてだめになり、車も流されました。自宅の損害は100万元、日本円でおよそ2000万円を超えると話しています。
 白茶は、この町の経済を支える中心的な産業主な産業です。1階に積まれていた大量の茶葉は、運び出す時間もないまま水につかり、そのまま流されました。茶商の高さんによると、「工場では塀が崩れ、裏口も壊れた。1階は、あと50センチで完全に水に沈むところだった。」といいます。さらに、知人の店では被害がいっそう深刻で、お茶を入れるためのテーブルや棚がすべて倒れ、茶葉も流された。シャッターまで壊れた。」と話しています。別の茶葉店の経営者は、店内に積んでいた数十万元、日本円でおよそ数百万円分の茶葉がすべて水に浸かり、商品として売れなくなったと話しています。また、あるブランド店の経営者は、2日未明に近所の人から電話を受けて初めて浸水を知りました。市街地にいた夫がすぐ車で店に向かいましたが、その時にはすでに道路が通れなくなっていたといいます。小学校の近くで店を営む男性は、周辺の道路には車のタイヤが半分浸かるほど水がたまり、自分の店も営業を止めていると話しました。ネット上には、被害の深刻さを訴える書き込みが相次いでいます。「町全体が海のようになった。家のお茶は全部だめになった」「一晩で町じゅうが被害を受けた」「店の中の物はすべてだめになった」「町全体が停電した」「父が秦嶼トンネルに閉じ込められている。土砂崩れも起きていて心配だ」といった声が投稿されています。
 
 8月31日夜から9月2日にかけて、この一帯では猛烈な雨が降り続きました。周辺16地区で積算雨量が250ミリを超え、このうち9地点では400ミリを上回りました。1時間雨量は点頭鎮で最も多く、108.9ミリを記録しました。各地で冠水や道路の崩落、のり面の崩れ、橋の水没、通行止めが相次ぎ、山間部では路肩が崩れた区間も出ています。2日午前8時からは、操業と生産の停止、休校、市場の休業といった措置が取られ、路線バスも運休しました。
 
 一方で、被災した人たちが最も切実に感じている問題については、今も十分な答えが示されていません。2日、点頭鎮に住む男性は、台風でこれほどの大雨になるとは思わなかったと話しました。低い場所では水位が2メートルから3メートルに達し、店の被害は非常に深刻だといいます。そのうえで、「今もまだ誰も助けに来ていない。損害のほとんどは自分たちで何とかするしかない」と訴えました。別の住民も、洪水で車を含む多くの物が押し流されたと話しています。今は水が引いたものの、支援はなく、住民たちは自分たちで片づけを進めているといいます。この住民は、死傷者もある程度出ているはずだとみているものの、詳しい人数はまだわからないと話しました。
 
 被害が出ているのは、この町だけではありません。中国のSNS「微博」には、今年は各地で豪雨が続いているとして、「実家では雨がずっとやまず、義母の話では野菜が全部腐ってしまった。いまの天気は本当に極端で、あちこちで土石流や洪水が起きている」といった書き込みも見られます。一方で、点頭鎮の被害の全体像は今もはっきりしていません。通りにたまった泥をかき出し、水に浸かった商品を運び出しているのは、ほとんどが店主や住民たち自身です。
(翻訳・吉原木子)