最近、中国の動画配信サービス「快手(クアイショウ)」の配信者、陳小紅(ちんしょうこう)さんが、ライブ配信で中国共産党と習近平を公然と批判し、暴力を使わず、体制への協力を拒む運動によって一党独裁を終わらせようと呼びかけました。
「権力は生まれながらに与えられたものではない。独裁者の権力は取り上げることができる。この不服従運動に十分な数の人が加われば、暴力に頼らなくても一党独裁を終わらせられる。私は中国人が言うべきことを口にしているだけだ。アカウントを閉鎖されても、発言を禁じられても、拘束されても怖くない。本当に怖いのは、自分から言論の自由を捨て、尊厳まで明け渡してしまうことだ。共産党を倒し、この非暴力革命に参加することは、私たちの世代が成し遂げなければならない使命だ。子や孫の世代に有毒な白菜を食べさせてはならない。習近平のような吸血鬼や、国を私物化する盗人を養わせてもならない」
「私の名前は陳小紅。ごく普通の中国人だ。中国共産党と中国人は同じではない。習近平は歴史上最大の、国を私物化する盗人だ。覚えておいてほしい。共産主義の官僚による中国人への植民地支配は、中国人一人ひとりが自分自身の問題として受け止めるべきことだ」
最近、中国のSNSでは「冲塔(チョンター)」と呼ばれる行動が目立って増えています。直訳すると「塔に突撃する」という意味で、当局の検閲や権力を塔に見立て、危険を承知で中国共産党や指導者を公然と批判することを指すネット用語です。快手や中国版ティックトックの抖音(ドウイン)、動画共有サイトのビリビリなどでは、四字熟語で遠回しに皮肉ったり、ライブ配信で公然とののしったり、歴史にまつわる画像や歴史上の人物に思いを託したりして、不満を表す人が出ています。
10月12日、ドウインで、ある四字熟語の書き間違いが話題になりました。悪名をいつまでも後世に残すという意味の「遺臭万年(いしゅうばんねん)」を、「万年」ではなく「千年」と書いた投稿です。コメント欄には、この言葉にかこつけて習近平を皮肉っているとみられる書き込みが大量に寄せられました。
ある投稿者は、言論が厳しく統制される中国では、指導者への不満を表そうとしても、別の話題にかこつけたり、昔の出来事を持ち出して今を皮肉ったりするしかないことが多いと指摘しました。さらに、「どうやら習近平に永遠に悪名を残してほしいというのが、人々の願いのようだ」とコメントしました。
習近平の先祖の出身地は陝西(せんせい)省富平(ふへい)県です。また、青年時代には同省延安(えんあん)市の梁家河(りょうかが)村に送られ、農作業に従事していたため、陝西省の人々からは「同郷の人」とみなされることがよくあります。コメント欄では、陝西省のユーザーが「中華民族の恥さらし!何もかも食いつぶすろくでなし!」と書き込みました。すると、別の人がすぐに「同郷じゃないのか?どうして同郷の人をそこまでののしるんだ?」と問い返しました。
このほかにも、「財産を食いつぶす悪い習慣は、どうすれば直る?」「普通の人では、永遠に悪名を残すほどのことはできない!」「絞首台に送れ!」「意味が分からないコメントを見かけたら、とりあえず『いいね』を押しておく」といった書き込みがありました。
表面上は四字熟語とその意味について話しているように見えますが、一部の書き込みには、明らかに現実の政治家を遠回しに批判する意味が込められています。こうした表現によって、政治的に敏感な話題への検閲をかわそうとする人たちの様子もうかがえます。
10月8日、海外のゲーム配信者Horcusが、ドウイン主催のゲーム「VALORANT(ヴァロラント)」の交流試合に参加しました。試合後のライブ配信中、突然、習近平を繰り返しののしる声が上がりました。習近平の名前を挙げ、罵声を浴びせていたとみられます。
この突然の出来事に現場の関係者が気づき、誰かが慌てて「早く退出させて」「退出させて、退出させて」と叫び、発言した人物を配信の場から排除しようとしました。
10月13日には、孫文の銅像が映ったドウインの動画が話題になりました。画面上を流れるコメントには、国は一部の人の私物ではなく、すべての人のためにあるという意味の「天下為公(てんかいこう)」や、「文明」といった言葉が大量に現れました。さらに、孫文が掲げた、民族の自立、国民の政治参加、暮らしの安定を目指す「三民主義」を支持し、「三民主義万歳」と書き込む人もいました。
動画を投稿した人は、この状況に驚き、こう述べました。「本当に天地がひっくり返るぞ!!!こんなことが起きるなんて、ネット規制の壁が崩れるか、国(中共)が滅びるかのどちらかだ!ドウインはすごい!」
この動画のコメント欄では、「天下為公」や「三民主義」が、人々の政治的な立場を示す言葉となりました。一部のユーザーは、こうした書き込みを別の政治理念への賛同と受け止め、それを通じて現実の政治への不満を表しています。直接ののしるのとは異なり、歴史上の人物や象徴的な言葉に思いを託すこうした方法は、ネット検閲が行われる環境での、比較的遠回しな意思表示です。
こうした現象はドウインだけにとどまりません。ビリビリでも同様に、危険を承知で体制を批判する行動が多く見られるという声があります。ただ、多くの人は互いに言いたいことを察しており、必ずしもはっきりとは口にしないといいます。「最近、危険を承知で体制批判する人が多い!」という書き込みもありました。
こうしたネット上の出来事のほかにも、SNSを通じて中国共産党や習近平を直接批判する中国人がいます。
中国語メディア「看中国」が先日公開した動画によると、郭小貴(かくしょうき)と名乗る中国人の若者が、TikTokに動画を投稿しました。中国共産党を「ならず者」と激しく非難し、人々を虐殺してきたと批判しました。また、習近平を「独裁の悪魔」と呼び、自由と民主主義を求めました。
郭さんは動画の中で、こう述べました。「お前たち共産党が結党から今までやってきたことは、人殺しと汚職、国を売る行為の歴史そのものだ!お前たちは偽善者の集まりで、本物のけだものだ。表向きは人民に奉仕すると言いながら、実際には自分たちのため、権力者や特権階級のために働いている」
また、遼寧(りょうねい)省撫順(ぶじゅん)市出身で、崔恒(さいこう)と名乗る男性は、Xのアカウント「崔人愚」を通じて動画を公開し、共産党から迫害を受けていると訴えました。
男性は動画で、こう述べました。「私は実名でこの動画を撮り、習近平と共産党が一刻も早く滅びるよう呪っている!抵抗し続けてこそ、相手はこちらを恐れるんだ!ひざまずけばひざまずくほど、共産党はお前をいじめやすい相手だと思う!私はこうして毎日、共産党をののしっている!それでも共産党の警察署は、私をおとなしくさせようと、しょっちゅう電話をかけてくる」
これらの動画に登場する人たちは、自らの政治的立場を公にし、中国共産党やその指導者を直接批判しています。同時に、自分が置かれた状況への不満も、ネット上で訴えています。
ドウインのコメント欄での遠回しな批判から、ライブ配信での直接的な罵声、そしてSNSでの公然とした批判まで、最近の事例には、さまざまな形の政治的な意思表示が見られます。一部のユーザーは、もはや遠回しにほのめかすだけでは満足せず、より直接的に不満を表しているようです。
こうした現象が、中国社会のより深い変化の兆しなのかどうかは、今後の動向を見ていく必要があります。ただ、言論が厳しく統制されるなか、中国共産党のネット検閲担当者によってすぐに削除される可能性がある投稿も、人々の関心を集めています。政治や歴史、現実の問題に対する一部の人々の思いが、ネットを通じて次々と表に出てきていることがうかがえます。
(翻訳・藍彧)
