タイ警察は最近、8つの私立病院が関わり、1500人近くの外国籍児童が巻き込まれた国際的な身分偽造ネットワークを摘発しました。子どもにタイ国籍を取得させたい一部の中国人が、金銭でタイ人男性を雇って実の父親を装わせ、偽の出生証明書を発行させていたのです。病院側は偽造に加担し、現地の登録担当者も見逃すという形で、この不正は少なくとも2年間続きました。ある中国人夫婦は、見ず知らずのタイ人男性2人と交渉して報酬を支払い、彼らの身分証を使って自身の2人の子どもの実父として登録させていました。
今年7月、警察は医療記録と出生通知書を照合し、DNA鑑定でこれらの父親の身分が偽りであることを次々と突き止めました。最終的に22人の児童の国籍が偽造によって取得されたことが確認され、37人が逮捕、うち19人が中国籍でした。子どもの国籍はすべて取り消され、関与した病院や公務員も責任を問われました。さかのぼると、このネットワークは当初、700億バーツ規模の国境を越えたマネーロンダリング事件の捜査から発覚したものであり、国籍の不正取得はその巨大な闇ビジネスの一角にすぎません。タイ警察は今後も資金や資産の行方を追及する方針で、関与した病院は免許取り消しの可能性もあります。
このようなニュースは近年、タイからカンボジア、マレーシアまで東南アジア諸国で繰り返し報じられています。中国人が海外の身分を金銭で獲得するハードルは下がり続け、価格も明確になり、今や公然のビジネスと化しています。
他国のパスポートにこれほどの代償を払う背景には、近年の中国国内における経済成長の鈍化、就職難の深刻化、そしてあらゆる業界に蔓延する過酷な競争社会があります。かつてと同じ地位を維持するだけでも以前よりはるかに多くの時間と労力が必要となり、若者たちは残業を重ねてもそれに見合う見返りを得られずにいます。不動産や株式市場による恩恵も次第に失われ、中間層の安心感も低下し、起業環境や言論の自由度も狭まるなかで、将来への不安を抱く人が増えているのです。
かなりの数の人々にとって、国籍を変えたり長期滞在資格を得たりすることは、自分や子どものために生き残る逃げ道を確保することに他なりません。たとえそれが書類の偽造や逮捕のリスクを伴うものであっても構わないのです。近年、海外移住を目指す動きがブームになっていますが、その根底にある心理は概ね共通しています。資金に余裕がある人は投資や不動産購入を利用し、予算がない人はこうしたグレーな手法に頼らざるを得ないのが実情です。
こうした海外移住の波は日本にも押し寄せていますが、手法はより巧妙です。過去数年間、「経営・管理ビザ」の取得が最も一般的なルートでした。名目上は日本での起業や経営が目的ですが、実際には多くの申請者が名義だけの会社を設立し、空のオフィスを借りているだけで、長年まともな事業を行っていないケースが少なくありません。事実上の「投資移民」枠として利用されてきたのです。数年の間に、このビザを保有する中国人の数は約3倍に膨れ上がりました。しかしこのルートは最近大幅に厳格化されました。日本の出入国在留管理庁は省令を改正し、資本金の要件を500万円から一気に3000万円へ引き上げたうえ、より詳細な経営実態の証明を求めるようになり、会社設立を利用して日本に滞在しようとしていた人々を困らせています。
ビザの取得条件が厳しくなったことで、逆に活発化しているのが偽装結婚のビジネスです。SNS上で堂々とお見合いを企画し、日本への滞在を急ぐ希望者を専門に物色する仲介業者も存在します。勧誘文句は露骨です。「経営・管理ビザの条件が厳しくなった今、日本人と結婚する方が手っ取り早い。1年以内に婚姻届を出せば配偶者ビザが取れ、5年後に永住権や帰化を申請し、許可が下りたら離婚すればいい。仲介手数料と日本人側への報酬を合わせても100万から200万円程度で、会社を設立するより安くて早い」というわけです。今年6月には、岐阜県で市役所に虚偽の婚姻届を提出したとして日中の男女が逮捕される事件がありました。中国人男性は長期的に働ける身分が欲しかったと供述し、日本人女性は100万円以上の報酬を受け取っていたとされ、両者とも容疑を認めています。
さらに強引な手段に出る人たちもいます。就労ビザや留学ビザで入国し、期限が切れても更新手続きや帰国をせず、そのまま不法滞在を続けて違法な就労に手を染めるケースです。日雇い労働で食いつなぎながら日本での生活を維持しようとしますが、見つかれば強制送還と長期間の入国禁止が待っています。また、日本人の養子縁組制度を悪用したり、日本人配偶者の「連れ子」として子どもを登録させたりして、間接的に子どもの身分を確保しようとする手口もあります。公に報道される事例こそ少ないものの、その筋ではもはや公然の秘密です。これらの手口はそれぞれ異なりますが、共通しているのは「まずは何としてでも滞在資格を手に入れ、身分をどう取得したかは後で考える」という一点に賭けていることです。タイで大金を払い偽の父親を雇った親たちと、舞台となる国が違うだけで、根底にある考え方は全く同じだと言えます。
(翻訳・吉原木子)
