トランプ氏と習近平氏との協議を経て、北京のシオン教会の牧師が釈放され米国へ向かう.
2018年、北京・錫安教会が当局により閉鎖された当日、教会ビルの入口には警察官が配置され、警備に当たっていた。(ChinaAid ホームページより)

 米NBCが7月5日に報じたところによると、中国で拘束されていた北京シオン教会(Zion Church)の創設者であり、非公認教会(家庭教会)の牧師である金明日(Ezra Jin Mingri)氏が先日釈放された。これは、トランプ米大統領が同氏の件について、中国共産党の習近平総書記に対し直接抗議を行ってから、まだ2ヶ月も経っていない。

 米国の非政府組織「対華援助協会」(ChinaAid)は、金明日氏が無事に米ロサンゼルスに到着し、家族と再会したことを確認した。この出来事により、中国の宗教の自由や人権状況、そして米中間の人権問題は、国際社会から再び幅広い関心を集めている。

 北京シオン教会は2007年に金明日氏によって設立され、当初は信徒が約20名しかいなかったが、10年余りの時を経て、徐々に中国最大規模の非公認教会(家庭教会)の一つとなった。同教会は独立した運営を堅持し、「三自愛国教会組織」の管理下には入っていないため、長年にわたり中国共産党当局の監査を受けてきた。

 「三自愛国教会」とは、中国政府に承認され、政治面での指導に従い、国家宗教事務局の監督下に置かれる中国のプロテスタント教会組織を指す。「自治、自養、自伝」を掲げ、国外の教会からの管理や干渉を受けないことを原則としている。

 この「三自」の原則は、キリスト教の信仰そのものと矛盾する面がある。例えば、カトリックの「三自」教会は教皇の指導を受け入れておらず、これに反発してひそかに教皇への忠誠を保ち続ける信徒も少なくない。中国本土には、こうした「三自」教会に属さない民間の独立教会も存在し、これらの教会は理論上、中国政府の宗教管理政策に違反しているため、「家庭教会」あるいは「地下教会」と呼ばれている。家庭教会は、改革開放後に急速に発展したことから、政府による弾圧を受けている。

 2018年、北京市政府はシオン教会の解散を宣言し、同教会の複数の集会所が相次いで閉鎖され、多くの集会は地下に潜って行われるようになった。2025年10月、金明日氏をはじめとする教会関係者17名が拘束され、これは近年における中国による家庭教会への弾圧措置の中でも最大規模のものの一つと見なされている。

 今年5月、トランプ氏は北京を訪問した後、帰路につく際にメディアに対し、金明日氏の拘束事件について習近平氏に直接提起し、中国側に事件の再検討を求めたと述べた。同氏は、習近平氏が「この牧師の事件を真剣に検討している」と考えている。

 金明日氏が釈放された後、その家族は声明を発表し、トランプ政権に感謝の意を表するとともに、トランプ氏が習近平氏に決断を促していなければ、今回の釈放は「あり得なかった」と述べた。

 このような家庭教会だけが弾圧を受けている信仰団体ではない。1999年以来、法輪功の練習者たちは信仰を貫き通したために中国共産党当局による迫害を受け続けており、中国の人権問題において、国際社会から継続的に注目されている。

 米国務省が毎年発表する『国際宗教の自由に関する報告書』および米国国際宗教の自由委員会は、長年にわたり、中国政府が法輪功の練習者、家庭教会のキリスト教徒、ウイグル族のイスラム教徒、チベット仏教徒など、多くの宗教・信仰集団に対して、さまざまな程度の制限や弾圧を継続して行っていることを指摘している。

 金明日氏の釈放について、米国に本部を置く「フリーダム・ハウス」(Freedom House)の政治犯プロジェクト責任者、ブライアン・トロニック(Brian Tronic)氏は、金明日氏の釈放は確かに喜ばしいことではあるが、依然として多くのシオン教会の幹部や信者が拘束されており、刑事訴追に直面している人々もいるため、国際社会は彼らの状況への関心を緩めてはならないと述べた。

 対華援助協会の傅希秋(ボブ・フー)会長は、金明日氏の釈放に向けた取り組みに対し、トランプ氏、マルコ・ルビオ米国務長官、およびその他の米国政府高官に感謝の意を表するとともに、米国政府に対し、今後も宗教の自由および信仰を理由に拘束されているすべての人々の釈放を、中国政府との対話における重要な議題として位置づけ続けるよう呼びかけた。

(翻訳・文遠)