ミラノ大聖堂外観(イメージ:Wikimedia Commons/MarkusMark / CC BY-SA

 『驚くべき恵み、なんと甘美な響きよ、私のように悲惨な者を救って下さった。かつては迷ったが、今は見つけられ、かつては盲目であったが、今は見える。神の恵みが私の心に恐れることを教えた。そしてこれらの恵みが恐れから私を解放した。どれほどすばらしい恵みが現れただろうか、私が最初に信じた時に…』4月12日、イースターの当日、あの有名なミラノ大聖堂の前に美しい歌声が響き渡る。歌うのはイタリアの有名なテノール歌手、アンドレア・ボチェッリ(Andrea Bocelli)氏で、ネットチャンネルを通じて世界で生配信された。

 イタリアでの中共ウイルス(新型コロナウイルス)の深刻な流行を受け、当コンサートは無観客で開催されたが、ポチェッリ氏の歌うキリスト教の讃美歌・『アメイジング・グレイス(Amazing Grace)』が、ネット配信で世界中に響き渡った。愛する人を亡くし、無力な人々を慰め、現代の生活に惹かれた人々を呼びかけ、世の中に無数の恵みを賜った神に目を向かせ、神の祝福を祈った。

 『アメイジング・グレイス』を作詞したのは、1725年生まれ、ロンドン出身のイギリス詩人ジョン・ニュートン(John Newton)牧師。『アメイジング・グレイス』は1772年で創作され、1779年で発表。その歌詞には、過去の行為への懺悔と、神への敬けんな信仰と、神への深い感謝が所々にあった。

 1807年、ニュートン牧師は天に召された。自分で書いた墓誌では、「ジョン・ニュートン牧師。以前は罪を犯し、神を信じない者で、アフリカで奴隷をやっていたが、救世主=イエス・キリストの豊かな慈悲により救われて恩赦されて、福音を広めようと命じられた」と書いた。

 19世紀初期、『アメイジング・グレイス』は世界に広がり、英語圏で最も人気で最も認められる讃美歌の一曲になった。その年間再生数は1千万回を超えるという。

 今年のイースターはいささか特別である。イタリアのみならず、世界中が中共ウイルス(新型コロナウイルス)で苦しんでいる時、ポチェッリ氏が歌い上げるこの『アメイジング・グレイス』に込められたメッセージは、「神の慈悲でこそ、人々の魂が絶望から救われる」である。

(文・劉暁/翻訳・常夏)