2025年、中国の外食業界はこれまでにない規模の大きな変化に直面しました。中国チェーン経営協会と美団が共同で発表した『2026年 中国外食チェーン化発展白書』によると、2025年に美団のシステム上で営業停止とった飲食店は339万店に達し、2024年より9.4%増加しています。

 一方で、2025年末時点で営業を続けている飲食店は約747万店にとどまり、業界全体としては「総数はわずかに減少しつつ、淘汰が急速に進む」という状況に入っています。これは、営業中の飲食店3店につき1店が市場から姿を消している計算になります。

 さらに注目すべきは、閉店した店舗のうち65%が開業から2年未満だったという点です。つまり、多くの新規店舗が、激しい競争の中で短期間で姿を消しているのです。

 業界関係者は、中国の外食市場がここ数年で急速に拡大したことを背景に挙げています。資本、フランチャイズブランド、個人の起業家が大量に流入し、市場は極めて混み合った状態になりました。その結果、ミルクティー、ベーカリー、火鍋、中華料理など、あらゆる分野で似たような店が増え、価格競争が激化しています。

 消費者の目に入るのは、約200円(9.9元)の格安セットや、約2000円(100元)で楽しめる2人前メニューといったお得な価格です。しかしその裏では、店舗側の利益は削られ続け、投資回収までの期間も長引いています。「紅餐網」の業界レポートによれば、中国の飲食店のライフサイクルは明らかに短くなっており、「すぐ開店して、すぐ閉店する」という現象がすでに一般的になっています。

 今回の閉店ラッシュの中でも、特に象徴的な出来事の一つが、30年以上の歴史を持つ「順峰酒家(じゅんほうしゅか)」が北京市場から完全撤退したことです。順峰は1993年創業で、高級広東料理や海鮮料理で知られ、かつてはビジネス接待や家族の会食における代表的なブランドの一つでした。

 最盛期には北京に複数の店舗を構え、全国では38店舗を展開していました。2006年には、そのブランド価値は約230億円(9.7億元)に達していたとされています。しかし、最近の報道によると、北京にあった順峰の店舗はすべて閉店しました。かつて賑わっていた北京の農業展示館周辺の本店は完全に人の気配が消え、北京のアジア大会選手村周辺にあった店舗もすでに解体段階に入っています。

 さらに、同社の親会社は裁判所から高額消費の制限対象に指定され、利用者がチャージしていたプリペイドカードの残高の返金も困難な状況となっています。中には約数十万円(数万元)もの残高が残っているケースもあり、問題は深刻です。

 公開情報によると、この企業は今年に入って複数の民事訴訟を抱えており、主に売買契約をめぐるトラブル、店舗賃貸に関する紛争、労働問題などが含まれています。

 専門家は、順峰の衰退は突然の出来事ではなく、従来の高級外食モデルが通用しなくなってきたことを示す象徴的な例だと指摘しています。これまで高級レストランは、企業の接待、結婚式や祝い事、いわゆる見栄を重視した消費によって支えられてきました。しかし近年、多くの企業が接待費を削減し、一般の人々もより理性的な消費へと移行しています。その結果、大型の宴会需要は明らかに減少しました。

 一方で、新しい中高価格帯のレストランは、内装やサービス、料理の質を向上させながらも、価格を抑える戦略を取っています。これにより、従来型の高級店は強い競争圧力にさらされています。もともと家賃や人件費、食材コストが高い高級レストランにとって、宴会価格が下がることは致命的です。価格が少し下がるだけで、利益は一気に削られてしまいます。

 もちろん、このような状況は順峰だけに限ったものではありません。

 2025年2月、有名外食グループ「上海小南国」は、傘下の10店舗の営業停止を発表しました。この企業は1987年に創業し、2012年には香港市場に上場、「小南国」や「南小館」など複数のブランドを展開し、全国の多くの都市に進出していました。

 さらに、西貝莜面村(シーベイ・ヨウミェン・ツン)の創業者である賈国龍も、全国で102店舗を閉鎖する計画を公表し、市場の大きな注目を集めました。
2025年は、かつて人気を誇った老舗ブランドやチェーン店が次々と縮小する年となりました。

 5月には、小籠包で知られる鼎泰豊が寧波市の国金センター店を閉鎖し、中国市場での累計閉店数は18店舗に達しました。6月には、ベーカリーブランド「歓牛ケーキハウス」が、コストの急上昇、競争の激化、そして経営上の問題を理由に営業停止を発表しました。

 7月には、ブレッドトーク(BreadTalk)が成都にある11店舗すべてを閉店し、顧客への返金問題が一時大きな議論を呼びました。

 さらに10月には、約150年の歴史を持つ「上海老飯店」が2店舗を閉鎖しました。この店は清朝・同治年間に創業された老舗で、本場上海料理を代表する存在として知られており、その縮小は多くの人に時代の変化を強く感じさせる出来事となりました。

 また、国際的なチェーンブランドもこの流れから逃れることはできませんでした。公開された財務データによると、2025年第2四半期と第3四半期の間に、バーガーキング中国の店舗数は196店減少しています。

 11月には、スターバックスの太原1号店が閉店し、地域の商業環境の変化を象徴する出来事として注目されました。

 では、なぜここまで深刻な状況に陥っているのでしょうか。

 第一の理由は、需要と供給のバランスが大きく崩れていることです。ここ数年、中国経済の停滞により、他の業界から職を失った多くの人が、参入障壁の低い外食業へ流れ込みました。その結果、2024年には新たに登録された飲食関連企業は357.4万社に達しています。しかし、需要が限られている中で供給だけが急増したため、外食業界は深刻な供給過剰に陥りました。この過剰状態により、同じような店同士の競争はさらに激しくなり、客単価も明らかに下がっています。現在のデータでは、中国では1000人あたり7店舗の飲食店が存在しており、この数字は世界でも最も高い水準です。需要を大きく上回る供給は、業界内の競争を一層厳しくしています。

 第二の理由は、消費の弱まりです。景気の低迷によって、多くの人々が支出を抑え、外食の頻度を減らしています。特に高級レストランはその影響を強く受けています。浙江省の研究者は、コロナ後も中国経済の回復は弱く、中間層の資産が減少し、低所得層では失業が増加していると指摘しています。その結果、人々はより慎重な消費へと移行し、コストパフォーマンスを重視する傾向が強まっています。

 第三の理由は、デリバリープラットフォームによる価格競争の影響です。中国飲食産業研究院の呉堅院長は、プラットフォームが提供する大規模な補助金が、全体の需要を十分に増やさないまま、消費行動だけを変えてしまったと分析しています。

 その結果、多くの客が店内での飲食からオンライン注文へと移行し、短期間のうちに外食業界全体の価格体系が歪められました。これが実店舗に大きな打撃を与えています。

 実際、2025年上半期には全国の飲食店の閉店率が前年より23%上昇しており、その中には、デリバリーの価格競争によって淘汰された店舗も数多く含まれています。業界関係者の間では、中国の外食市場が「誰も食事をしなくなった」わけではないという見方が一般的です。しかし、確実に言えるのは、この市場がこれまで以上に厳しい選別の時代に入ったということです。

(翻訳・藍彧)