近年、中国の人口問題はますます大きな関心を集めています。そうした中、上海市金山区(きんざんく)から流出したある統計資料が、中国の実際の人口規模に対する新たな疑念を呼び起こしました。

 2026年1月、上海市金山区の公安分局、人力資源・社会保障局、民政局が合同で公表した統計表によると、金山区の期末時点の戸籍人口は53万4675人でした。そのうち、1月の出生数はわずか108人だった一方、死亡数は453人に達していました。死亡数は出生数の4.2倍に上り、自然増加率はマイナス7.75パーミルとなっています。

 この数字は、いったい何を意味するのでしょうか。

 評論家の江峰(こうほう)氏は、自身の番組「江峰時刻」の中でこう指摘しています。資源が最も集中し、医療条件も最も整っている上海でさえ、生まれる人より死ぬ人のほうがはるかに多い人口構造になっているのだとすれば、医療資源が乏しく、若い世代の流出も深刻な内陸の農村部、たとえば河南省や四川省、さらに東北の一部地域では、人口の実態はさらに厳しい可能性が高い、というのです。

 江峰氏は、ここから一つの推計を行いました。もし金山区の出生数と死亡数の比率を中国全体の人口に当てはめ、さらに中国当局が公表している14億人という人口を基準に計算するなら、中国の年間出生数はおよそ340万人しかおらず、一方で死亡数は1430万人に達する可能性があるというのです。つまり、この差し引きだけで毎年およそ1100万人ずつ人口が減っている計算になります。

 江峰氏は、これはもはや単なる少子高齢化の問題ではなく、民族そのものの存続に関わる危機だと見ています。人類の歴史を振り返っても、平和な時代にこれほどの人口崩壊が起きるのは極めて異例だというのです。

 さらに注目を集めているのは、この統計表にもう一つ重大な数字が含まれていることです。金山区で都市部と農村部の住民向け社会保険に加入している人はおよそ6万7000人いる一方、実際に年金や給付を受け取っている人は6万人に達していました。つまり、9割近くの人が受け取る側に回っていることになります。これは何を意味するのか。若い世代が働いて保険料を納める構造そのものが、すでに支えきれなくなっている可能性を示しているのです。

 これまで中国社会科学院の専門家は、中国の年金制度は2035年前後に資金が枯渇するおそれがあると指摘してきました。しかし、今回の金山区のような数字を見るかぎり、その時期はもっと早く訪れる可能性があります。ここ数年、中国当局が退職年齢の引き上げを急ぎ、通貨の大量発行を続けている背景には、こうした切迫した事情があるのかもしれません。

 では、現在の中国の総人口は、いったいどれほどなのでしょうか。

 江峰氏は番組の中で、中国当局が誇示してきた「中国には14億人の人口がいる」という主張は、完全な虚偽だと述べています。この見方は、海外の人口学者の分析とも重なっています。たとえば『大国の空巣』の著者として知られる易富賢(えき・ふけん)氏は、中国で長年行われてきたBCG接種者数や、病院での分娩件数といった指標をもとに推計を行い、中国の実際の人口規模は公式発表を大きく下回っている可能性があると指摘してきました。

 2022年には、世界的な注目を集めた「上海公安システムのデータベース流出」事件も起きました。西側の情報機関やデータ分析の専門家がその内容を精査した結果、そこに含まれていた中国国民の身分情報の総数は、およそ9億7000万人から10億人の間に収まる可能性があるとみられています。

 では、なぜ中国当局の人口統計には4億人から5億人もの上振れが出ているのでしょうか。

 江峰氏は、その背景について、過去数十年にわたり中国の地方政府や計画出産部門、学校、病院などが、中央政府から人口規模に応じて配分される教育補助金や医療補助金、さらには治安維持関連の予算をだまし取るため、戸籍システムの中に大量の「幽霊人口」を作り出してきたからだと見ています。その結果、全体の人口統計が次第に膨らみ、実態とかけ離れた数字になっていったというのです。

 その一方で、現実の社会では住宅価格の高騰、過熱する教育競争、非常に高額な医療費、そして将来に希望を持ちにくい階層固定化が進み、結婚せず子どもも持たないという選択をする若者がますます増えています。それは、この社会に対する最も静かで、しかし最も強い拒絶の意思表示でもあるとみられています。
こうした要因に加えて、最近では一段と衝撃的な説までネット上で広がっています。

 1月25日、海外在住の元中国メディア関係者、曾節明(そう・せつめい)氏がXに投稿し、1月24日に中国の体制内部にいる民政部門の官僚から、匿名の内部告発を受けたと明かしました。

 その告発によれば、中国の人口はそもそも14億人もいないといいます。2010年の第6回国勢調査では中国の総人口は13億3970万人とされていましたが、2020年11月に行われた第7回国勢調査では、人口はわずか10億9330万人まで減っていた、というのです。

 さらに彼は、習近平氏がこの報告を聞いて大きな衝撃を受け、自らの面目が潰れたと強く感じたため、統計結果の公表をいったん見送るよう急指示を出し、同時に大規模な人員を動員して統計や数字の見栄えを整えさせたとも明かしています。これこそが、第7回国勢調査の結果発表が前例のない形で半年も遅れた本当の理由だ、というのです。

 この内部告発者によれば、3年に及ぶコロナ禍の間に、中国で実際に死亡した人数は3億8700万人に達し、さらに2022年12月にゼロコロナ政策が解除された後の2年間でも、新たに1億5300万人が死亡したとされています。

 同告発者はまた、「2020年に感染拡大が始まって以降に死亡した5億3000万人は、すべてが新型コロナによる死亡者でも、ワクチンの副作用による死亡者でもない」と指摘しています。多くの「心臓死」や「脳死」とされた人々は、ワクチンの副作用で亡くなったのではなく、当局の臓器移植産業チェーンによって命を奪われたのだ、というのです。

 さらに彼は、外部にはほとんど知られていないこととして、中国当局が「新たな経済成長分野」として重点的に後押ししてきた臓器移植産業チェーンが、まさにコロナ禍を隠れみのにして急速に拡大したと述べています。パンデミック期のさまざまな強制措置が、臓器の適合確認や殺害の実行に、これまでにないほど都合のよい環境を与えたというのです。

 パンデミックの最初の3年間、当局による臓器摘出の標的とされた人々の中で、最も割合が高かったのは1980年代生まれだったとされています。コロナ禍の3年間で、1980年代生まれの死亡率は1970年代生まれの2倍に達し、さらに1950年代生まれを上回っていたとされ、その本当の理由はここにあるのだと、この告発は主張しています。中国で1980年代生まれの死亡率が異常に高いことは、国際社会でも注目を集めたとされています。

 中国当局はこの問題に強い危機感を抱き、2024年末には、多くの臓器提供者の死亡データを今後は死亡統計に含めないよう命じたといいます。その結果、各地で遺棄された臓器欠損の遺体は、火葬場で焼かれても死亡者としては集計されず、行方不明者として処理されるようになったとされています。さらに2025年以降、公安当局もこうした案件を立件しなくなったというのです。

 この内部告発者によれば、遺棄された臓器欠損遺体の数は驚くほど多く、2025年はこれまでにない急増の年になったとされています。全国の火葬場の内部統計では、こうした行方不明者として記録された臓器欠損遺体は、2025年だけで1400万人を超えたとされ、これは紛れもない大規模な殺害だと主張しています。

 そして告発者は、このまま政権が変わらなければ、国民は急速に消え、中国そのものも取り返しのつかない破局へ向かうことになると強く訴えています。

(翻訳・藍彧)