2026年2月初め、中国の鉄鋼業界で、まれな規模の「集中操業停止」が起きています。データプラットフォーム「マイ・スチール」(My Steel)の調査によると、アーク炉製鋼所95社のうち、2月1日から8日の間に44社が操業を停止し、割合は約48%に達します。さらに9社が2月中旬までに順次停止し、遅いところでは2月15日まで続くとされています。

 鉄鋼業界について、ある女性ブロガーは次のように説明しています。
 「この操業停止の波は、業界全体を揺さぶっている。旧正月明けの鋼材供給はゆっくり戻る見込みだが、ドミノ倒しのように、製鋼から原材料市場へと波及し、連鎖反応を起こす可能性もある」

 この話題はSNSで急速に拡散し、ネットユーザーからは「製鋼炉は360日休まず稼働していたのに、いまは集団で火を落としている」との嘆きの声が上がり、鉄鋼業界の現状をめぐる議論が広がっています。

 公開情報によれば、今回の操業停止には、複数の地域企業やグループ企業に広がっており、航達(こうたつ)鋼鉄、成実(せいじつ)鋼鉄、曲靖恒特(きょくせいこうとく)、四川都鋼鋼鉄などが含まれます。航達鋼鉄は約9万トンの減産、成実鋼鉄は約17万トンの減産が見込まれるとされています。

 磐金鋼管(ばんきん・こうかん)、方大特鋼(ほうだい・とくこう)、萍安(へいあん)鋼鉄、龍騰(りゅうとう)特鋼なども、程度の差はありますが、操業停止や点検整備の予定を公表しています。今年の旧正月期間だけを見ても、四川・重慶地域の主要製鋼所17社のうち12社が操業停止を発表し、別の4社は長期停止の状態にあるとされます。湖北省でも、アーク炉の企業は広く「操業停止に入る」と見られています。

 外部では「鉄鉱石が足りないのでは」「スクラップが止まったのでは」といった憶測も出ていますが、現時点の業界データを見る限り、鉄鉱石や鉄スクラップが全体として途絶えるような供給断絶は確認されていません。複数の業界関係者は、今回の製鋼所の集中操業停止は、原材料の問題というより、需要の弱さと、業界が抱えてきた構造的な矛盾が集中的に噴き出した結果だと指摘しています。

 アーク炉の製鋼所は、スクラップ鋼を主要原料とし、工程も比較的柔軟で、二酸化炭素の排出も低いものの、市場の低迷が長引けば、赤字を抱えたまま走り続けることは難しくなります。止めたくなくても、止めざるを得ません。

 冶金業界のブロガー・呉日健さんは、ここ数年の製鋼所の倒産や操業停止の波を分析し、原因を5つに整理しています。

 1つ目は、中国の鉄鋼業界が長年、供給過剰の状態にあることです。2023年、中国の粗鋼生産量は世界全体の約56%を占めた一方で、内需の伸び悩みにより需給バランスが崩れ、鋼材市場は価格競争に陥り、企業の利益率は継続的に圧迫されています。

 2つ目は、下流の需要が目に見えて縮んでいることです。特に不動産は、鉄鋼消費の主要分野の一つで、全体需要の約3割を占めています。不動産投資と新規着工面積が連続して減少し、鋼材の消化能力を直接弱めています。

 3つ目は、環境規制の強化です。排出やエネルギー消費の基準を満たすため、鉄鋼企業は設備改造に継続的な資金投入を迫られます。価格が低迷している時期ほど、この負担が経営コストとして重くのしかかります。

 4つ目は、国際貿易摩擦の激化です。複数の国や地域が中国産鋼材に関税を追加課税したり、反ダンピング調査を進めたりしており、輸出の道が狭くなっています。

 5つ目は、ここ数年で影響がいっそう強まっている要因として、業界再編と政策調整の加速です。2024年以降、生産能力が遅れていたり、経営が行き詰まったりした製鋼所が相次いで閉鎖され、すでに倒産、または倒産手続き中の企業も少なくないとしています。

 この流れは、資産処分の現場にもすでに数字として表れています。今年1月、雲南永昌鋼鉄が、2850億円(12.7億元)の最低落札価格で公開競売にかけられたことは、地方鉄鋼企業の資金繰りが破綻した象徴的な事例の一つと見なされています。

 2月3日、中国国内の鋼材価格ははっきり下落し、複数の品目が続けて値を下げました。その結果、市場では「作れば作るほど赤字が増える」という不安が強まっています。

 実際、2025年11月の時点で、鉄筋と熱延コイルの価格は過去10年で最低水準まで下落しており、鉄鋼業界では「高生産、高コスト、高在庫、低需要、低価格、低収益」という苦境に直面しています。

 河北省唐山の鉄鋼業者、郭経緯さんはSNSで、次のように打ち明けています。
 「商品は出した。材料置き場も空になった。でもすごく心配だ。製鋼所側から返ってくるのは、だいたい決まった返事だ。『経理が手続きを回している』『上の承認待ちだ』。言い方は丁寧だが、実際にお金は振り込まれない。こっちは運賃もあるし、下流の支払いもある。どれを先延ばしできるというのか。敷地代、人件費、何一つとして出費がかさむ。資金の流れが切れたら、何を言っても意味がない」

 複数の業界関係者は、「製鋼所は止めたくて止めているわけではない」と強調します。ある鉄鋼系ブロガーは、現場の事情をこう説明しています。

 「現在、製鋼所は鋼材1トンを作るごとに約4500円から約6750円(200から300元)の赤字になる。操業停止1日あたりの損失は約1.1億円(500万元)に上る。製鋼炉は、鼓動する心臓のようなもので、いったん止めたら、数千トンの溶けた鉄が固まって、巨大な鉄の塊になってしまう。再稼働するだけで数億円の資金が必要。乗用車300台を炉に放り込むようなものだ。倒産寸前まで追い詰められない限り、どの製鋼所も簡単に停止ボタンは押せない。

 それに、どこかの製鋼所が今日市場から降りたら、明日には顧客は全部ほかの会社のものになる。鉄鋼業界で一度失った取引先を取り戻すには、いまの赤字の10倍のコストがかかるのだ。さらに、従業員1万人規模の製鋼所が止まれば、上流と下流も含めて、近い規模で一気に失業が出る。地方政府や銀行、サプライヤーが『見えない手』になって、企業に無理やり生産を続けさせている面もある」

 ただ、その「無理やり持ちこたえる余地」は、急速に小さくなっています。2025年11月7日、四川省成都の鋼材卸業者がSNSでこう述べました。「2025年10月時点の公開情報だけでも、少なくとも20社の製鋼所が倒産、または倒産手続き中だ。しかも実際はさらに多い可能性がある。中小の製鋼所は統計に入っていないこともある」

 企業によっては、操業停止はもはや戦略的な選択ではなく、追い込まれた末の損切りであり、場合によっては市場から退く前の最後の猶予になりつつあります。

 業界では、今後もしばらくは低い水準のまま推移するとの見方が一般的です。操業停止や減産、倒産の事例が増えているのは、業界全体に強い負荷がかかっている現実を示す一方で、競争力の弱い生産能力が整理されていく動きを早める可能性もあります。

 これらの背景には、企業の赤字が増えるという話だけでは終わりません。その裏側では、地方財政、雇用の構造、産業チェーン全体の安定が、同時に試されることになります。

(翻訳・藍彧)