イラン全土で続く抗議活動や、ベネズエラのマドゥロ大統領夫妻が米軍に拘束されたとの報が駆け巡るなか、これら一連の国際情勢の激変が、中国共産党指導部に強烈な不安を引き起こしているようです。北京当局はドローンの飛行禁止令を厳格化しただけでなく、電子地図上から中南海を「抹消」させる措置までも講じました。時を同じくして、当局が全国各地で「高齢者による有償の治安ボランティア(通称『義警』)」を大量に採用しているとの情報がネット上で拡散されており、各地の武装警察も街頭で暴動鎮圧訓練を頻繁に行っています。これらの兆候は、当局がいわゆる「独裁者ドミノ」現象に備え、治安維持(維穩)レベルを全面的に引き上げていることを示唆しています。

 アナリストは、マドゥロ政権の崩壊が中国共産党高層部に極めて大きな心理的衝撃を与えたと指摘しています。経済崩壊やカラー革命によって倒れた従来の政権とは異なり、マドゥロ政権は長年、軍上層部の絶対的な忠誠に依存して統治を維持してきた、典型的な「強権政治」でした。しかし、マドゥロ夫妻の拘束劇は、「銃口から政権が生まれる(銃杆子里面出政権)」という鉄則さえあれば安泰であるという迷夢を打ち砕きました。これは中国共産党内部に深刻な「独裁者ドミノ」の恐怖を植え付けています。

 マドゥロ氏の末路は、現代の地政学的ゲームにおいて、伝統的な武力による高圧支配が必ずしも盤石な保証ではないことを暗示しています。この「銃口」さえもはや安全ではないという深層心理的な疑念こそが、最近の北京およびその周辺地域における、神経質ともいえる一連の防衛行動を直接的に駆り立てているのです。

 上層部の防衛を強化すると同時に、基層における統制手段にも顕著な変化が現れています。SNS上の情報を総合すると、当局は全国範囲で「義警」と呼ばれる高齢の治安維持要員を大量に募集しており、月給は約3000元(約6万円)とされています。この現象の背後には、深刻な社会経済的論理と世代間の断絶が横たわっています。第一に、現在の中国経済の減速、地方財政の逼迫、そして底辺層の年金不足という背景において、この3000元という月給は多くの定年退職した高齢者にとって、生活の命綱となり得る金額です。ある評論家は、これは単なる治安維持手段ではなく、一種の変則的な「公共事業による雇用創出を通じた救済措置」であると分析しています。つまり、治安維持予算の一部を放出することで、生活に困窮する高齢者層を巧みに取り込み、彼らの生計と政権の安定性を「利益」によって結びつけているのです。

 第二に、この集団の属性は社会学的な観点からも注目に値します。これら「義警」の多くは文化大革命の時期に青春時代を過ごし、当時の政治運動の影響を色濃く受けています。彼らは往々にして、権力への執着があり、密告を厭わない傾向が見られ、当局が掲げるスローガンに対して親和性を持っているため、動員されやすいのです。これと対照的なのが、自由を重んじ、権利意識に目覚めた若い世代です。当局はこの価値観における「世代間の断絶」を利用し、「紅衛兵世代」を若者を監視するための前哨部隊へと転換することに成功しました。「歴史は繰り返す」と言いますが、黒竜江省鶴崗市興安区や同江市などで義警の大隊が設立された映像は、多くの人々に歴史上の「小脚偵緝隊(かつての居民委員会で監視役を担った高齢女性たち)」や近年の「朝陽群衆(密告を行う市民組織)」を連想させました。底辺層がお互いを監視し合い、大衆を使って大衆を闘争させるという伝統的な統治術が、新たな形で復活しているのです。ネットユーザーはこれについて、「社会は発展しているはずなのに、まるで過去にタイムスリップしたようだ。義警は治安を守るためなのか、それとも同胞を監視するためのものなのか?」と冷ややかな視線を送っています。

 人的監視によって隙間を埋める一方で、当局はハードパワーの誇示も強化しています。多くの地域の動画では、武装警察部隊が都市の街頭で整列し、暴動鎮圧訓練を行っている様子が映し出されています。隊列を組んだ警察官が盾を持ち、様々な陣形を展開する威圧的な光景に対し、ネットユーザーからは「どうやら一般市民を仮想敵とみなしているようだ。これは『民を防ぐこと賊を防ぐが如し』だ」との鋭い指摘がなされています。また、「彼らは無数の方法で人生を搾取し歪めることができるかもしれないが、たとえ盾が千枚あろうとも、潮のように押し寄せる民意を止めることはできない」という嘆きの声も聞かれます。

 こうした緊張感は、首都・北京において特に顕著です。最近、ある北京のブロガーが公開した動画によると、街頭で警察に呼び止められ身分証確認を受けた際、警察の携帯端末(警務通)システムに「ドローン所有者」である旨が即座に表示されたといいます。警察は直ちに彼に対し、ドローンは電源を切って携帯しなければならず、北京市全域での飛行は厳禁であると警告しました。実際、早くも2025年8月の時点で、北京警察は全域をドローン管制空域とする通知を出していましたが、最近の取り締まりは明らかに厳格化しています。さらに1月7日には、主要な地図アプリ上で「中南海」というランドマークが検索できなくなっていることがネットユーザーによって発見されました。検索結果は強制的に、本来の所在地である西城区ではなく、北京通州へと誘導されます。デジタル地図上から権力の中枢の位置を抹消しようとするこの試みは、極度の不安感の表れであると見なされています。

 これら一連の異常な動きに対し、上海出身の起業家である胡力任氏は1月4日、X(旧Twitter)への投稿で、マドゥロ氏の逮捕事件が指導部を極度の恐怖期に突入させたと分析しました。北京ではすでに、「最高指導層が個人的な防衛システムをさらに強化している」「北京周辺の軍事基地で軍隊の異動が高頻度で発生している」「周辺の地下シェルターシステムも稼働を開始した」といった情報が流れているとされます。これに対し、ネット上では次のような声が上がっています。「南米情勢が急変して以来、当局は一連の警戒態勢を引き上げたが、もはや手遅れだ」。「欺瞞による権力奪取、暴力による治安維持、そして底辺層の分断統治に頼る手口は、彼らをますます孤立させるだけであり、現在の様々な挙動は『草木皆兵(草木も敵兵に見えるほどの極度の恐怖)』という末路の反応に過ぎない」。

(翻訳・吉原木子)