最近ネット上で拡散した複数の動画では、広州市海珠区の南洲街道にある後滘(こうじょう)コミュニティの立ち退き現場で、ショベルカーが地面の土やレンガを掘り起こしてはバケットを高く持ち上げ、近くで作業している水ミストを噴射する霧砲車(むほうしゃ)の方向へ向けて土砂を放り投げています。大量の粉塵(ふんじん)が一気に舞い上がり、風に乗って周辺一帯に広がっていく様子が映っています。

 動画では、近くの通りがほこりに覆われ、車の販売店に止めてある車が分厚い粉塵で真っ白になっていました。店は営業どころではない状況です。撮影者は、これは通常の工事で出る粉塵ではなく、意図的に環境汚染を起こして、まだ立ち退いていない住民や商店に圧力をかけているのではないかと疑っています。

 公開情報によると、広州市は2026年前後までに約18兆円(8077億元)を都市改造に投じる計画で、海珠区、天河区、白雲区など複数の区で都市更新プロジェクトが加速しています。しかし、一部の立ち退き補償が合意に至っていない状況下で、工事の進め方が問題視されています。

 報道によれば、2025年7月、広州市政府は土地収用の事前公告を発表し、後滘コミュニティの関連用地を「広州市新中軸」海珠エリアの改造範囲に組み込みました。その後、土地の貸主や物件管理側が、園区内のテナントに対して立ち退き通知を出しました。

 通知では賃貸契約の条項を根拠に、「政府による収用や立ち退きがあった場合、テナントは無条件で撤去に協力しなければならない」とし、内装への投資や営業損失などについて賠償を求めてはならず、貸主側が返金するのは、利息なしの保証金と、残りの家賃分だけだという内容です。

 すでに管理側と和解したという店舗経営者は、多くの店舗が初期の内装工事に数十万元から数百万元を投じたと明かし、いまも移転していない店舗の多くは補償をめぐって折り合いがつかないためで、争いの一部はすでに裁判に進んでいると語りました。

 この問題を追っているインフルエンサー「天眼観世界博主」は、一部の住民や商店が立ち退き補償の条件に不満を持ち、移転に同意していないため、その後、解体側が霧砲車と組んで大量の粉塵を発生させるようになったと指摘しました。その結果、住宅地や店舗、車がひどく汚れ、生活や健康への影響もはっきり出ていると主張しています。

 後滘コミュニティの商店主の1人は「大風新聞」に対し、「粉塵の問題は2025年12月31日から続いており、朝から吹き始め、昼に少し止まり、午後2時すぎに再開し、午後4時すぎにようやくショベルカーが去るという状況で、通り全体がほこりまみれになり、店舗経営はほぼできない」と訴えました。

 工事現場の近くにある別の自動車販売店は「封面新聞」に対し、長期間の粉塵で店の環境が急激に悪化し、最近は予定を前倒しして移転を始めたと認めました。
動画が公開されると、一気に話題となりました。

 多くのネットユーザーが「環境対策の一線を超え、暮らしの最低ラインを踏みにじっている」と非難し、「粉塵による立ち退き強要だ」と皮肉っていました。

 広州市の地元ネットユーザーの中には、「こうしたやり方は珍しくない。立ち退きを迫るために、ドアを溶接して閉じ込めたり、廃土を流し込んで出入口を塞いだりする場所もある」と書き込む人もいました。

 世論の圧力を受けて、1月4日、南洲街道の担当者は、後滘コミュニティで粉塵問題が起きていることは認めた一方で、「故意に起こしたわけではない」と否定しました。また、工事中に霧砲車に水を補給するのが遅れ、操作ミスもあって、本来は粉塵を抑える装置が逆に粉塵を舞い上げてしまったと説明し、街道側が施工会社に対して工事停止と是正を命じたとしています。

 しかし、この説明は論争を鎮めるには至りませんでした。ネット上では、もし単なる操作ミスなら、なぜ粉塵が数時間も続いたのに止めなかったのかという疑問が相次ぎ、今回の説明では説得力がないとする声が広がっています。

粉塵が幼稚園にも及び 保護者が子どもの健康を心配

 立ち退き工事による粉塵の影響は、住民や商店だけにとどまりませんでした。

 広東放送テレビ局の生活情報チャンネルは2025年12月24日、現場近くにある三滘幼稚園も、深刻な粉塵の被害を受けたと報じました。

 報道によると、工事の時間帯になると、砂ぼこりが風に乗って園内に舞い込み、短時間で園全体を覆い尽くし、園舎や遊び場だけでなく、室内にもほこりが積もったといいます。三滘幼稚園の職員、陳さんは最もひどい時には「幼稚園全体が灰色のほこりに覆われ、教室の中も土だらけだった」と話し、幼稚園側は頻繁に清掃せざるを得ず、子どもたちの屋外活動の時間も減らしたと明かしました。

 複数の保護者も取材に対し、子どもが帰宅後にせきが出たり、喉の違和感を訴えたりすることがあったと話し、粉塵による健康リスクを心配しています。ある保護者は、幼稚園こそ最も安全な環境が必要な場所なのに、立ち退きの過程で「真っ先に影響を受けている」と訴えました。

南部各地で強制撤去が相次ぎ 社会対立激化

 2025年11月中旬、中国南部の各地で、強制撤去をめぐる衝突が立て続けに起きました。

 11月17日、海南省臨高県で、地元政府が多くの強制撤去要員と警察力を動員し、村の民間寺院を強制的に取り壊しました。現場の動画では、装備を整えた撤去隊を前に、村民が神像を運び出す過程で政府側と激しく対峙する様子が映っています。村民の一部は太鼓を打ち、米をまくなど、土地の風習で抗議の意思を示しました。地元の文化では、人に米をまく行為には「邪気を払う」「不運を追い払う」と同時に、呪いに近い意味合いもあるとされ、強い公権力を前にした怒りと無力感がにじみます。

 11月14日には、広西チワン族自治区賀州市富川県でも似た事件が起きました。地元政府が警察を動員し、ヤオ族の宗族祠堂を強制撤去しました。ヤオ族の女性たちが体を張って止めようとしましたが、祠堂が更地にされるのを止められなかったのです。翌日、村民はすぐに廃墟へ戻り、その場で再建を始めたといいます。

 ネット上には次のような書き込みが相次ぎました。
 「この民族を壊しているのが誰なのか、もう明らかだ」
 「共産化のあと、中国にはもう歴史の継承がない」
 「五千年の文化が、マルクス・レーニン・毛沢東の侵略者の鉄の足で断ち切られた」
 「中国共産党は破壊しか知らないならず者集団だ」
 「中南海を壊せ。そうすれば国が平和になる」
 「中国共産党は世界の害毒だ」
 「中国社会は揺れている。問題の根本が何一つ解決されないうえ、中国共産党の政策と弾圧はますます過激になっている。だから社会の矛盾は必ず激化し、抗議はますます増えるだろう」

(翻訳・藍彧)