経済の不景気や不動産市場の低迷の影響を受け、中国各地で路面電車の運行停止が相次いでいます。最近、広東省珠海市の路面電車が正式に運行終了し、解体されることになりました。

 中国メディアの報道によると、広東省珠海市政府が7日、珠海路面電車の運行を終了し、関連するすべての施設を撤去することを発表しました。

 珠海路面電車は2017年6月に運行を開始し、全長8.89km、14駅で総投資額は26億元(約571億円)に達しています。3年あまりの運行後、2021年1月に新型コロナウイルスや電力供給技術、安全面の理由から運行を停止し、現在に至っています。

 実際、2021年4月に珠海市交通局は、珠海路面電車を撤去するかどうかについて市民の意見を求め、路面電車の運行状況について詳述しました。

 珠海路面電車で使われていた電力供給技術には欠陥があり、運行停止前に11回の大規模な技術改良が行われたものの、問題は解決されず、事故も多発していました。故障による運行中断が77回にも上りました。

 技術的な問題だけでなく、珠海路面電車は赤字に直面していました。珠海路面電車の運行期間中、1日あたりの平均乗客数は3378人で、期待乗客数の5%しかありません。極めて低い乗客数が原因で運賃収入も非常に少なく、3年間の運行で総運賃収入は387万元(約8480万円)にとどまり、3億元近いコストには到底及びません。

 中国のほとんどの地方政府と同様、今年珠海市政府の土地売却収入も大幅に減少しました。珠海市政府は今年の予算報告書で、厳しい経済状況下で財政の持続可能な発展にかつてない課題があると率直に述べています。実際、コストが高く、乗客数が少ないため、以前に上海張江路面電車1号線や天津開発区ガイドレール電車1号線も撤去されました。また、甘粛省天水市で借金をして始めた路面電車プロジェクトは、過去9回も「業績プロジェクト」として天水市政府の事業報告に含まれていましたが、現在では「不良プロジェクト」となっています。

(翻訳・吉原木子)