米空軍航空機動司令部の司令官マイク・ミニハン氏(U.S. Air Force, Public domain, via Wikimedia Commons)

 米空軍のマイク・ミニハン司令官は1月27日付の内部メモで、米中が2025年に台湾海峡で開戦するリスクがあると述べ、部下に準備を指示しました。米政治専門紙「ザ・ヒル」2日の報道で分かりました。これが、中国共産党がいつ台湾に侵攻するのかという最悪の状況への懸念と議論を引き起こしたのです。

 2021年から米空軍航空機動司令部の司令官を務めるミニハン氏は、2024年に米大統領選挙と台湾の総統選が予定されているとして、中国共産党はこれを台湾島奪取のチャンスと見るだろうと考えています。

 報道によると、このメモは1月27日に指揮下の将校らに送られたもので、ミニハン氏の署名が入っていました。ミニハン氏はメモの中で「私の直感では、25年に戦うことになると思う」と指摘し、「中国の習近平氏に、大統領選で気の抜けた米国を見せることになるためだ」と理由を説明しました。さらに、パイロットたちに生前の遺言や家族の連絡先などの緊急データ記録を更新するようアドバイスしました。

 米国防総省は、ミニハン将軍のメモは国防総省の方針を示すものではないとすぐに指摘したが、それでもこのメモは、米国が中国共産党が台湾を支配下に置くためにいつ行動するのか、合理的に予期できる時期について論争を巻き起こしたのです。

 これまで、米政府の複数の要人たちが、台湾海峡で中国共産党が戦争を起こすタイミングを予測していました。

 米国防総省のエリー・ラトナー国防次官補(インド太平洋安全保障担当)は昨年7月、中国の増え続ける軍事力に加え、西側諸国の軍事力に対してとる中国の行動が、アジア太平洋地域で「大きな事件」または緊急事態を引き起こしかねないとの懸念を表し、米中が大きな事件を起こすのは「時間の問題だ」と述べました。

 米海軍作戦部長(米海軍の最高司令官、日本の海軍大将に相当)マイク・ギルディ提督は昨年10月、米海軍は24年までに中国が台湾を攻撃する可能性に備えていると警告しました。「この20年間を振り返ると、中国はやると言ったあらゆる目標を想定より早く達成した」と指摘しました。侵攻が起こる時期について「22年あるいは23年かもしれない。それは排除できない」と語りました。

 アントニー・ブリンケン国務長官は昨年10月17日、西部カリフォルニア州のイベントで「中国は以前に比べてかなり早い時間軸で(台湾との)再統一を目指すと決意した」と言及しました。

 フィリップ・デービッドソン前米インド太平洋軍司令官は1月24日、日本との外交部会で、「2027年までに、中国が台湾を侵攻する可能性がある」と一昨年、米議会軍事委員会の公聴会で明言したことについて、この見解は現在でも変わっていないことを強調しました。

 新米国安全保障センターのインド太平洋安全保障プログラム上級研究員のジェイコブ・ストークス氏は、2027年までに中国共産党の台湾への全面侵攻よりも、暴走する可能性が高い危機や出来事が起きるであろうと考えています。ストークス氏は、「マッカーシー議長は今年後半に台湾を訪問する予定だ。中国軍は、ペロシ議長の台湾訪問のときと同じような大規模な軍事演習を行うと思う。中国共産党は予期せぬ衝突、ひいては暴走するような衝突を引き起こす可能性がある」と述べました。

 台湾海峡の緊張と米中両国間の緊張関係は2022年に最高値を記録しました。ナンシー・ペロシ米下院議長は昨年8月初めに台湾を訪問した直後、中国軍は台湾周辺の空域と水域で大規模な軍事演習を実施しました。

 今年の新議会の下院議長であるケビン・マッカーシー氏も、今年後半に台湾を訪問する予定で、この訪台も中国共産党の挑発的な発言と台湾島付近での軍事演習を引き起こすことは、ほぼ間違いないでしょう。

 現在、米国とその同盟国は、中国共産党による台湾への軍事的挑発行為を綿密に監視しており、直近では2月1日にそのような行為がありました。

 中華民国(台湾)国防部の発表によると、中国共産党は台湾島周辺に軍用機34機、軍艦9隻を送り込みました。今回の行動はここ数週間、台湾島付近での最大規模の侵入行動であり、台湾側は戦闘機や海軍艦艇の出動、ミサイル防衛システムの緊急起動を余儀なくされました。

 その前日、NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は、北京がロシアのウクライナへの侵攻から教訓を得ており、最終的には台湾を奪取しようとする可能性があると警告しました。

(翻訳・藍彧)