新年を祝っている回族の一家( パブリック・ドメイン)

 新疆の人権危機が世界に注目されている今、中国の回族(かいぞく)のイスラム教徒は、彼らが中国当局の次の目標になるのではないかとの心配がますます高まっている。

 中国における約2千万人のイスラム教徒の半数以上を占めるのが回族。中国共産党は過去、回族ムスリムに対し比較的寛容な政策を実施していたが、現在ではウイグル人を迫害する「新疆モデル」が回族の集落にある程度応用されている兆候が見えてきた。

 去年11月、寧夏回族自治区の官僚が新疆の「維穏」(安定維持)指揮部、公安ビッグデータセンター、及び拘留キャンプを見学した。一か月後、寧夏は新疆とテロ対策協力協定を締結することで合意し、新疆と同じように多くの地元のモスクに24時間の監視カメラを設置した。

 「小さいメッカ」と呼ばれる甘粛省臨夏回族自治州では、16歳未満の子供がモスクに入って宗教活動に参加したり、イスラム教義を学んだりすることは厳禁されている。雲南省、河南省、寧夏省では、一部のムスリム学校が閉鎖された。

 内モンゴル自治区と河南省もモスクを強制的に取り壊す、もしくは改造する計画を実行している。在アメリカ回族ムスリム留学生の古懿氏はボイス・オブ・アメリカのインタビュー取材に対し、次のように述べた。

 「モスクを『中国』化にさせることは中国共産党政権高層部の政策であり、何年間も続いている。その真の目的は、建物を中国共産党が要求する形にするのではなく、強制的に建物を改造することを通して、回族の伝統と特徴を絶滅させ、中国共産党が作り出した政治的イデオロギーに完全に同一化させることだ」

(文・萧雨/翻訳・宛漣音)