紫坪舗ダム(Ken Marshall, CC BY 2.0 , via Wikimedia Commons)

 四川省で発生した地震は、8日12時までに少なくとも86人が死亡、35人が行方不明、270人が負傷したことが分かった。今回の地震は人災によるものだと直言する専門家もいる。

 ドイツ在住の水利専門家である王維洛(おう・いらく)氏は、今回の四川地震は人為的な災害に関連していると考えている。同氏は大紀元時報とのインタビューで、四川省の半分は青海チベット高原で、現在も隆起が続き、活発な活動をしており、もともと地震の多い地域だったと述べた。しかし、以前は地震の頻度がそれほど高くなかった。ここ数年か十数年に、四川省、雲南省、貴州省を含む地域で地震が頻発するようになった。

 「中国の公式地震学者は、これはプレート運動の結果だと常に説明している。しかし、中国が西部に大規模な水力発電開発を展開する過程で、この最も危険な場所に三峡ダムよりもはるかに高いダムが建設されている」

 中国水利部の焦勇副部長もある報告書で、地震の多い西部地域に高いダムを多く建設するのは危険な行為であると述べたことがあるという。

 また、中国の多くの専門家も、2008年の四川(汶川)大地震は、成都市に隣接する紫坪舗(しへいほ)ダムによって誘発されたと考えていると、王氏は言及した。

 広州市のタブロイド紙「南方都市報」によると、2008年の汶川地震の後、四川省地質鉱産局の地域地質調査チームの範暁主任技師は同年5月21日、当時は具体的な震源地がどこか正確には分からず、最初は汶川だと思っていたが、その後、震源地が紫坪舗ダムに非常に近いことが分かり、紫坪舗ダムの貯水によるものである可能性を完全に排除することはできないと述べた。これをダム誘発地震という。

 公開情報によると、ダム誘発地震とは、地震がなかった場所、あるいはほとんどなかった場所にダムが建設されたことにより、水が貯まることで誘発される地震を指す。すべてのダムで、誘発地震が発生するわけではなく、活断層のある地域だけがダムの影響で地震を誘発する可能性がある。

(翻訳・藍彧)