「981健康プロジェクト」(広告動画のスクリーンショット)

 9月15日、中国の通信アプリWeChatに北京301病院(中国人民解放軍総病院)の広告が表示された。その中では中国共産党指導者の「981健康プロジェクト」が重点的に宣伝され、150歳まで生きることが目標として掲げられていた。しかし広告は翌日に削除された。北京301病院は中国共産党中枢の重要な保健基地であり、長年にわたって中国共産党の上層部の医療と健康を担当してきた。  

 RFA(ラジオフリーアジア)が入手した広告の映像によると、中国共産党政権樹立後、その上層部の医療保健は60年間の探求と実践を経て目覚しく発展してきた。その過程において、「予防・医療・保健・リハビリ・療養」を一体化し、「がんや心血管疾患の予防、アンチエイジング、慢性疾患管理、臓器機能再生および健康的な生活スタイル」を重点に、「中国養生理論の精華と西洋先進医療技術を深く結びあわせた」独特のシステムが生み出された。 

 広告によると、中国共産党の医療システムは「世界第一」で、中国共産党指導者の平均寿命は西側先進国の指導者より一般的に高く、2008年の中共指導者の平均寿命は88歳だったという。広告の終わりには、「981健康プロジェクト」は2005年からすでに始まっており、目標は寿命を150歳まで伸ばすことである、と紹介された。  

 中国の検索エンジン「百度」で資料を調べたところ、「981健康プロジェクト」は現在も進行中であり、その紹介は上記の動画の内容とほぼ同じものであることが分かった。百度の公開資料によると、「981健康プロジェクト」チームは2005年に設立され、5月に正式にスタートした。「981健康プロジェクト」は、社会のエリートの健康を目指す「重大プロジェクト」だと位置づけられている。981首長健康プロジェクトセンターは「長年にわたり党中枢のエリートを担当してきた医療保健専門家と優秀なスタッフのチームを擁し、世界最前線の高精度予防医療保健設備と分子診断実験室を擁している」。  

 資料によると、981プロジェクトには「健康促進プロジェクト、青春再現プロジェクト、150歳長寿プロジェクト」の3つのプロジェクトがある。その中の「150歳長寿プロジェクト」は削除された301病院の広告と内容が完全に一致した。  

 中国共産党の高官たちの退職待遇は驚くべきで、世界的にも珍しい。香港の月刊誌「動向」の報道によると、2014年に中国共産党の退職した高官たちによる支出は675億元(約107億米ドル)に上り、国民に大きな負担を強いている。元衛生部副部長の殷大奎氏によると、政府が投入した医療費の80%は、八百五十万人の共産党幹部たちのために使われている。すなわち、国家の医療費の8割が、全人口の1%にも満たない共産党幹部に使われているのだ

(翻訳・柳生和樹)

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