月餅を利用した朱元璋(イメージ:看中国)

 今日(9月13日)は中国伝統の仲秋節だ。この伝統的な祝日に、香港市民は古代の知恵を利用して中国共産党の高圧的な統治に抗い、お互いを励ました。実は月餅は昔から専制政治に対抗するための道具として利用されてきたのだ。

香港市民が作る「光復香港」の月餅

 最近、香港市民は元王朝末期の民衆による抵抗運動をもとに、「逃亡犯条例」改正案反対運動の月餅を作った。彼らは「光復香港、時代革命」など文字が付いている月餅を作り、駅で配布し、香港市民を励ました。

50年前の台湾月餅

 台湾に「秋恵文庫」という歴史博物館がある。この博物館中では50年前に作られた月餅が保存されている。

 この月餅の包装紙には「月餅を食べて共産党を倒し、仲秋節に大陸を思い出そう」と印字されている。その時、中華民国の総統・蒋介石は「光復大陸」の目標を掲げ、国民が仲秋節の月餅を食べる時にも、共産党に占領されている大陸の民衆の解放を忘れないよう呼び掛けた。蒋介石氏は一生涯共産党に抵抗し、亡くなるまで光復大陸を忘れなかった。

月餅を利用した朱元璋

 元王朝の末期、政府が必要以上に紙幣を発行したので、物価が高騰した。自然災害と疫病が重なり、民衆の生活が苦しくなった。元王朝が民衆に対して厳しい監視していたため、元王朝を倒そうと計画した朱元璋たちは月餅の中に秘密情報を書いた紙を入れ、部下に配った。

 朱元璋は後に元王朝を倒し、明王朝の初代皇帝になった(明の太祖)。そして昔の苦労を忘れないため、仲秋節の時に大臣たちに月餅を配った。これが仲秋の月餅の始まりだとされている。

月餅の深い意味

 歴史をたどれば、月餅は元々民衆が暴力的な政権下でお互いに情報を交換する方法の一つである。この小さなお菓子が中華民族の存亡と繋がっていることは、なんと感慨深いことだろうか。

(文・穆蘭/翻訳・黎宜明)