中国の劉昆財務相(China News Service, CC BY 3.0 , via Wikimedia Commons)

 中国の劉昆財務相は22日、政府がタイトな生活を送ることは長期的な方針であると述べた。習近平氏は第20回共産党大会で再選を目指す計画を支える資金を必要としており、大手企業や富裕層が再び標的にされる可能性があると分析されている。

 劉昆財務相は22日に国務院新聞(報道)弁公室で記者会見し、政府の財政引き締めは短期的な対応ではなく、長期的に堅持しなければならない政策であると述べた。

 中国経済は、不動産業界の債務危機や、厳格に実施された「ゼロコロナ」措置の影響により、昨年の半ばから徐々に活力を失い始めた。劉昆氏は、経済成長の鈍化が財政収入を減少させ、支出を拡大することによって経済を後押しすることを困難にしていることを認めた。

 米中貿易戦争の勃発以来、当局は、2018年末から「タイトな生活」を送る必要があると頻繁に言っている。例えば2018年12月27~28日には中国財政部の年次工作会議が開かれ、「生活を引き締める考え方を確立し、一般支出などを厳しく圧縮する」ことなどが提案された。

 欧州天鈞政経シンクタンクの宋維駿研究員は、地方が発表した財政支出データから判断すると、地方政府が減らしたのは社会保障、雇用、農林水利、教育などの国民生活に関する支出であると指摘した。つまり、中国共産党がいわゆる「タイトな生活」を労働者大衆に伝える一方で、引き締められているのは庶民たちの生活費であり、役人は相変わらず腐敗し、民衆を弾圧する「安定維持」のための資金は年々増えている。 

 欧州天鈞政経シンクタンクは、経済危機であれ、他の分野の危機であれ、緊急に資金を必要としている習近平氏にとっては難しいハードルだと考えている。中国共産党の軍備・権力は、内部では反体制派の排除や国内民衆の弾圧に使われ、外部では他国の政府や企業を威嚇したり買収したりするために使われ、その全てにお金が必要だ。そこで「お金」の重要性が強調され、「共同富裕」のために大手企業や富裕層の「助け」が必要とされる。

 つまり、習近平政権において、緊迫する財政問題を解決するために、昨年、あらゆる経済分野を襲った「規制」の嵐が再び発生する可能性が高いということだ。習近平氏もこの過程で綱渡りをしている。中国経済が再び「規制嵐」に耐えられるかどうかはわからない。

(翻訳・藍彧)