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 中国の太陽光発電メーカー大手の隆基緑能科技(ロンジ)は、米国税関が同社製品の一部を引き留めていると明らかにした。

 ブルームバーグによると、これはバイデン政府が中国共産党による新疆ウイグル自治区での人権侵害に対する懲罰行動である。

 ロンジ社は、世界最大級の太陽電池用単結晶シリコンのロッドとウエハーのメーカーである。同社が3日に上海証券取引所で発表したところによると、10月28日から11月3日にかけて、同社が米国に輸出した太陽電池モジュールの合計40.31メガワット(MW)が米国税関に引き留められた。これは同社の年間対米輸出売上高の約1.6%を占めている。

 米政府は6月24日、ウイグルの強制労働問題に関連して、太陽光パネルを主に作る中国企業5社の製品輸入を規制した。5社はそれぞれ、合盛硅業(ホシャイン・シリコン・インダストリー)、新疆大全新能源(ダコ・ニュー・エナジー)、東方希望集団(イースト・ホープ・グループ)傘下の新疆東方希望有色金属、新疆協鑫新能源材料科技(新疆GCLニューエナジーマテリアルテクノロジー)、新疆生産建設兵団(XPCC)である。ホワイトハウスは、同禁止令が、新疆で少数民族の人権を迫害し、ウイグル人を強制的に働かせている中国共産党への制裁を目的としていると発表した。

 8月、米国は新疆での人権迫害に関与したメーカーへの制裁をさらに強化した。米当局はここ数カ月、新疆を拠点とするホシャイン・シリコン・インダストリーに関係しているとして、晶科能源(ジンコソーラー)、カナディアン・ソーラー、トリナ・ソーラー(天合光能)のモジュールを輸入停止とした。米国への輸出品を税関で引き留められたという情報があった。

 今回の米国税関による引き留めにより、ロンジ社は、米国が制裁対象としている中国の太陽電池メーカーのリストに加わったことになる。

 ロンジ社は、米国税関による同社製品の引き留めは、当面、同社の業務に「大きな悪影響」を与えていないとしているが、同社の上海の株価は3日、9.8%下落し、、途中で下げ一服となり、終値は2日の99.98元から91元へと8.98%下落し、わずか1日で市場価値が486億元(約8632億円)も蒸発した。

(翻訳・徳永木里子)