(成蕾(せいらい)氏 Web Summit, CC BY 2.0 , via Wikimedia Commons)

 オーストラリア人のジャーナリスト成蕾(せいらい)氏は2020年8月14日、「外国に国家機密を漏らした」という疑いで、中国共産党(以下、中共)当局に逮捕された。それから1年経った今、「国境なき記者団(RSF)」は13日、中共当局に成蕾氏の即時釈放を改めて呼びかけた。

 RSFは成蕾氏のほか、オーストラリア人の時事コメンテーター楊恒均(ようこうきん)氏が、2019年に同じ罪名で逮捕され、恣意的に拘束されたことや、スウェーデン籍の香港出版社の桂民海(けいみんかい)氏が2015年にタイで連行された後、2020年2月に「外国への違法な情報提供」の罪で懲役10年の実刑判決を受けたことなどを挙げていた。

 RSFのセドリック・アルビアーニ東アジア事務局長はこのほど、中共当局が3人の外国人ジャーナリストを「スパイ罪」で拘束したことを非難した。これは、中国共産党が、国籍や居住地を問わず、独立した意見を述べる人々を追い詰めて殺害することを厭わないという、非常に明確なメッセージを伝えている。

 同氏は、中共は外国人ジャーナリストを極端に敵視しており、北京の元BBC特派員ジョン・サドワース氏を含め、過去1年間に前例のない計18人の外国人ジャーナリストを追放したと述べた。また、国際社会に対し、「中共当局に国際法を尊重するよう圧力をかけ、成蕾氏、楊恒均氏、桂民海氏及び他拘束されているジャーナリストと報道の自由を守る人々の即時解放を確保すること」を呼びかけた。

 RSPが4月末に発表した『世界報道自由度ランキング2021年版』によると、中国は世界180カ国中177位で、下から4番目であったという。

 ニューヨークに拠点を置く非営利団体「ジャーナリスト保護委員会」は、2020年の年次報告書の中で、2020年12月1日までに、世界各地で274人のジャーナリストが投獄されたと指摘した。

 同団体は、中国が2年連続で最も多くのジャーナリストを投獄した国であり、47人のジャーナリストが投獄され、その多くが長期の懲役刑に処せられ、罪状が公表されないまま新疆ウイグル自治区で投獄されていると指摘した。

 昨年、新型コロナウイルス(中共ウイルス、COVID—19)が武漢で流行した際、中共は北京を脅かすような報道をしたと公言し、多くの市民ジャーナリストを逮捕した。

(翻訳・吉原木子)