四川省巴中市(はちゅうし)は、9日から集中豪雨に見舞われて洪水が発生した。現地の街の通りが川になり、38万人以上が被災。当局は洪水の黄色警報(注)を発令し、緊急対応を始めた。

 9日8時から10日16時まで、巴中市は豪雨に見舞われた。市内の降雨量は216カ所の観測所の水位が50mm以上、144カ所が100mm以上、11カ所が200mm以上を越えた。10日の日中から夜にかけても豪雨は降り続き、災害の影響は拡大している。

 ネット上で出回っている動画には、巴中市通江県の川の水位が急上昇し、山津波の土砂流が道路に流れ込んだため、多くの主要な交通道路が中断され、多くの人々と車が閉じ込められた。黄色い泥水は川岸を超えて市街地に流れ込み、一部の建物の床は浸水された。道路に駐車していた車は小舟のように水の中で漂っている。通江県はまるで海のようになった。

 また、別の動画によると、10日の午後、巴中市巴州区にある三河発電所のダム堤防が浸水し、落差10メートル近い乱流の滝が形成され、多くのスピードボートや船が滝に落ち、瞬く間に下に押し寄せている大波に飲み込まれた。

 地元の人たちは、多数の船が大洪水によって堤防の下に流され、非常に恐ろしかったと語った。「上下の落差が10メートル以上あり、まるで映画のシーンのようで、船は一瞬にして粉々になってしまった」

 今回の集中豪雨により、巴中市で38万4,295人が被災し、7万7,456人が避難を余儀なくされ、直接的な経済損失は16.75億元(約284.92億円)に達した。

注:中国の警戒信号のレベルは、一般的に気象災害がもたらす危害の程度、緊急度、展開状況に応じて、Ⅳ(一般)、Ⅲ(軽度)、Ⅱ(重度)、Ⅰ(特に重度)の4段階に分けられ、青、黄、オレンジ、赤の順に表示される。

(翻訳・徳永木里子)