チベット人僧侶(Antoine Taveneaux, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons)

 中国共産党(以下、中共)はチベットを占領して70年、創立100周年を迎える際に、宗教信仰や文化的抑圧などでチベット人に対する支配を強めている。こうした中共の動きがますます注目されている。

 フランス通信社(AFP)は1日、チベット人僧侶の現状を報じた。ラサ仏学院で学んでいる900人以上の学生が笑顔で外国人記者を迎えた。学生僧侶がサッカーをし、中国語や英語を学び、チベット語で仏教の戒律について議論している様子を訪問者が見たと記事で書かれた。

 しかし、これと裏腹に、チベット仏教の精神的指導者であるダライ・ラマ14世の肖像が仏学院で掲げることが禁止された代わりに、習近平氏の肖像が目立つ場所に飾られていた。つまり、僧侶たちはダライ・ラマ14世ではなく習近平氏を見習わなければならないことだ。「政治を勉強しないわけにはいかない。毎週月曜日の午後には政治の授業があり、よく政治問題を討論させられる」と、ラサ仏学院の伝統的な僧侶着を身にまとった少年がAFPの記者に語った。

 同記事にはさらに、チベット大学の副校長は「 私は中共の党員であり、仏教徒ではない。共産主義者だ」と述べ、自分は宗教を守るために来たのではないことを認めた。

 海外のチベット人組織「自由チベット」が5月末に発表した声明によると、中共創立100周年を迎える前北京がチベット人に対する弾圧を大幅に強化した。同声明はチベット人支援団体「チベット観察」の情報を引述し、5月上旬、ラサにある5つの寺院の僧侶たちが中共の歴史や法律に関する試験に強制参加されたとし、中共が自らのイデオロギーでチベット仏教の影響力を弱めようとしていると述べた。

(翻訳・徳永木里子)