Wisbech Grammar School(ウィズビーチ・グラマー・スクール)(Rob enwiki, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons)

 英国の日曜版大衆紙「メール・オン・サンデー」は21 日、新型コロナウイルス感染症(武漢肺炎、COVID-19)パンデミックの影響を受け、財政危機に陥った数百の英国の私立学校は、中国の投資家に買収されるターゲットにされており、英国の政界で懸念を呼んでいると報じた。

 新型コロナウイルスの影響で学生が自宅で勉強しているため、入学者数は激減し、授業料も削減され、多くの英国の私立学校の資金繰りが危機に陥っている。中国共産党の高官が運営している企業は、英国の教育システムに対する影響力を拡大しようとして、すでに英国の17校が買収されており、その数はまだ上昇している。

 メール・オン・サンデーの調査では、驚くべき事実が明らかになった。

 中国共産党が買収した17校のうち、9校は企業が所有しており、企業の創業者やオーナーはいずれも中国共産党の上層幹部である。

 ダイアナ妃が通っていた予備校を中国グループ会社が買収した。同社はダイアナ妃の名前で公然と取引している。

 学校は教育ツールを使用して、学生たちに中国共産党の観点を教え込んでいる。

 ある企業が英国の学校を買収したのは、中国共産党による世界的な影響力の拡大を目指す物議を醸している中国の、「一帯一路」戦略を支援するためのものであることを認めた。

 例えば、複数の英国学校を買収した中国企業「ブライト・スカラー・エデュケーション・ホールディングス(博實樂教育集團)」は楊恵妍氏(39)が所有している。同氏は200億ポンド(約2.963兆円)の資産を保有しており、アジアで最も裕福な女性と言われている。父の楊国強氏は中国共産党の人民政治協商会議の委員であり、不動産開発企業「カントリー・ガーデン・ホールディングス(碧桂園控股有限公司)」を設立した。楊恵妍氏は、「ブライト・スカラー・エデュケーション・ホールディングス」の親会社である碧桂園のオーナーである。

 英国教育省の報道官は20日夜、「私立学校の所有者には、英国の基本的な価値観を推進する要求がある。学校は党派の政治的観点を宣伝してはならない」と述べ、また「中国共産党による学校の管理を直ちに終了しなければならない 」と強調した。

 英国の欧州連合(EU)離脱のリーダーで著名な政治評論家のナイジェル・ファラージ氏は21日、メール・オン・サンデー紙に「世界は中国共産党に密かに乗っ取られている。鉱物資源や欧米の通信システムを買うだけではなく、中国共産党のイデオロギーへのプロパガンダと教化を匂わす文化的な側面もある」「英国政府はこれらの危険性に目覚め、迅速に行動しなければならない」と明言した。

中国人投資家に買収されたイギリスの学校の一部は下記の如くである。
Abbots Bromley School, Staffordshire
Bournemouth Collegiate School
St Michael’s School in Llanelli, Carmarthanshire
Bosworth Independent College in Northampton
Bedstone College in Shropshire
Ipswich High School
Kingsley School in Bideford, Devon
Heathfield Knoll School, Kidderminster
Thetford Grammar School in Norfolk
Wisbech Grammar in Cambridgeshire
Riddlesworth Hall Preparatory School in Norfolk
Adcote School for Girls near Shrewsbury, Shropshire
Myddelton College in Denbigh, Wales
Wellington College in Crowthorne, Berkshire
CATS Colleges-Campuses are in London, Cambridge and Canterbury

(翻訳・徳永木里子)