ジョー・バイデン大統領(Gage Skidmore from Surprise, AZ, United States of America, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons)

 ジョー・バイデン氏は1月20日に就任すると、トランプ政権の政策を覆す複数の行政命令に署名した。しかし、米国とカナダのパイプラインの中止やWHO(世界保健機関)からの離脱の中止などの取り組みが批判されている。

初日から批判と非難にされされる

 共和党のミッチ・マコーネル上院党首とケビン・マッカーシー下院党首は、バイデン氏が就任初日にいつくもの間違えた決断を下したと批判した。
 マコーネル氏は、バイデン大統領が就任初日に何千人もの雇用を無くし、エネルギー安全保障上の進歩の一部を取り消すことで同盟国カナダを失望させたと非難した。

 バイデン氏が1月20日に署名した気候変動に関する行政命令には、キーストーンXLパイプラインの許可取り消しが含まれており、これにより米国とカナダで6万人の雇用が失われ、10億ドル以上の損失が発生する可能性があると考えられている。

 パイプラインは2005年に最初に提案されたが、オバマ政権下で窮地に陥った。その後、トランプ元大統領はカナダのトルドー首相の支持を得て復活させ、カナダでは数ヶ月前から工事が進められていた。

 カナダのアルバータ州知事のジェイソン・ケニー氏は、バイデン氏の決定を「最も重要な同盟国と貿易相手国への侮辱 」と呼んだ。トルドー首相もバイデン大統領の動きに失望感を示した。

 ケニー氏はトルドー首相に対し、バイデン政権と協議するよう求め、米国が協力を拒否する場合は、カナダが米国に貿易・経済制裁を課すよう求めた。

パリ協定への復帰で雇用を失う

 バイデン氏は、トランプ氏が脱退を宣言した「パリ協定 」に復帰するための命令にも署名、この動きが「地球温暖化対策における米国のリーダーシップを回復するためのもの」であり、2050年までに米国の温室効果ガス排出量をゼロにすることを目指していると述べた。

 しかし、一部の共和党上院議員は地球温暖化政策をめぐって鋭く対立している。共和党のスティーヴ・デインズ上院議員は「憲法に基づき、上院の3分の2の承認がなければ『パリ協定』に復帰することはできない」と主張する決議案を提出した。デインズ氏の決議は、他の5人の共和党上院議員によって支持された。

 クルーズ上院議員は、「パリ協定」への復帰が米国経済に大きなダメージを与えると主張した。「パリ協定」が規定する最初の条項に従うことにより、米国では40万人の製造業の雇用機会が失われることとなり、20年近い間に一般的なアメリカ人家庭が2万ドル(約206万円)の負担を背負わなければならなくなるという分析を引用した。

 さらにバイデン氏は、WHOから脱退するプロセスを止める行政命令に署名した。

 米下院監視・政府改革委員会の上級委員であるジェームズ・コーマー下院議員と共和党のスティーブ・スカリース下院議員は20日、プレスリリースを発表し、「WHOに本質的な改革を行う前に復帰するのは愚かなことだ」と述べた。

 プレスリリースでは、共和党のチップ・ロイ下院議員は、米国がWHOへの最大の政府献金国であることを発表した。そして、納税者がWHOの資金源にならないように法案を成立させると言った。

(看中国記者・肖然/翻訳・徳永木里子)