武漢協和病院(イメージ:YouTubeスクリーンショット)

 2020年4月中旬、武漢の住民を対象に新型コロナウイルス(中共ウイルス、SARS-CoV-2)抗体を調べたところ、実際の感染者数は公表されているデータの10倍に相当する可能性があることが最新の研究で判明した。サウスチャイナ・モーニング・ポストが報じた。

 香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」は12月29日、中国疾病予防管理センター(CDC)の研究から、武漢に住む1100万人のうち4.43%が新型コロナウイルスに対する抗体を持っていたことが明らかになったと報じた。この割合で計算すると、武漢の新型コロナウイルス感染者は50万人となるはずだが、当局は感染者数を5万人と報告していた。

 中国疾病予防管理センターの研究では、武漢市と周辺の6つの省の34,000人以上のサンプルが採取された。武漢市以外の住民の新型コロナウイルスに対する抗体陽性率は0.44%と、武漢市よりもかなり低いことが判明した。この結果について、中国疾病予防管理センターは、「武漢の感染症コントロール対策が『ウイルスの大規模な拡散を効果的に防いだ』ことを示している」と結論付けた。

 本件研究で明らかにされた感染者数と報告された感染者数との間に乖離があることについて、専門家は、発生初期の段階では検出が不十分かつ困難であり、無症状の感染が原因である可能性があると指摘した。また、第一波のピーク時の医療機関間での症例数の数え方にも食い違いがあった。

 クイーンズランド大学(オーストラリア)のイアン・マッケイ准教授は、サウスチャイナ・モーニング・ポストのインタビューで、「正確にはどれだけの(症例を)見逃したのか、まだわからないが、この(研究)で多くの症例を見逃したことがわかった」と語った。

 米外交問題評議会(CFR)の世界衛生問題上席研究員の黄厳忠氏は「しかし過小報告もあるかもしれません」と述べ、また中国では、無症状の症例は確定症例とは別にカウントされており、合計の報告をさらに複雑にしていると指摘した。

 中国は12月28日、武漢肺炎の感染の実態を報じたとして、元弁護士の張展氏に懲役4年の判決を言い渡した。AP通信によると、張氏は虚偽の情報を広め、外国メディアのインタビューで嘘を捏造し、公の秩序を乱し、「悪意を持って」感染拡大を誇張したという理由で起訴された。

(看中国記者・成容/翻訳・徳永木里子)

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