英国外相ドミニク・ラーブ(Dominic Raab)(英国外務省/パブリック・ドメイン)

 中国と英国の関係が悪化している中、英国のドミニク・ラーブ(Dominic Raab)外相は20日、北京の「香港版国家安全法」強制施行に伴い、英国と香港の間で30年に渡る「犯罪人引渡し条約」を直ちに停止すると発表した。

 英国議会が発表したニュースによると、ラーブ外相は、現地時間(7月20日)月曜日午後に議会の下院で、北京当局が中英共同宣言に違反して香港版国家安全法を強制執行したため、香港との犯罪人引き渡し条約を無期限に停止すると発表した。

 ラーブ外相はまた、1989年から中国に対する武器禁輸措置を香港でも実施するという。つまり、英国は香港警察が香港市民を抑圧するために使用する武器、手錠など、致命的な可能性のある武器や部品、弾薬を香港に輸出しないことを意味する。

 ボイス・オブ・アメリカの報道によると、ラーブ外相は英国国籍法改正法案を国会休会までに提出する見込みで、英国の海外パスポートを保持している香港市民が英国に5年間滞在することや英国の市民権を申請することを認め、早ければ来年初めに実施される予定だと示した。

 同報道は、イギリス野党労働党は香港との犯罪人引き渡し条約停止という政府の決定を支持すると表明し、「正しい方向への一歩」であると述べた。

 これに先立ち、オーストラリアとカナダはすでに香港との犯罪人引き渡し条約を停止すると発表した。アメリカやニュージーランド、フィンランドなども同条約を停止する方針を検討している。

 サウスチャイナ・モーニング・ポスト(南華早報)によると、韓国、インド、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、スリランカ、南アフリカ、イギリス、チェコ、フィンランド、ドイツ、アイルランド、オランダ、ポルトガル、カナダ、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、フランスなど20か国が香港と犯罪人引き渡し条約を締結しているという。

(看中国記者・岳剣清/翻訳・北条)