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 古来の言い伝えによれば、人には魂が宿っているという。魂は輪廻しているので、今世の行いが来世にも影響を及ぼす。来世に影響を与える要素はつまり縁である。縁には良縁と悪縁があり、夫婦の縁もその一つである。

 縁に関する話は、西洋にも伝わっている。ギリシャ神話の中で、ゼウスの妻ヘラは婚姻をつかさどる女神である。夫婦の縁は神により定められたという考え方は世界中に見られる。

 「縁」という字は、糸と彖が組み合わさったもので、左側の糸は2本の糸で編んだ縄を意味している。右側の彖は鼻の突き出た猪を表している。甲骨文字を見ると、猪の鼻は上へ反り、意志の強さを意味する。小篆になって糸と彖を合わせて縁の字ができた。つまり、丈夫な縄で暴れる猪を結んでその動きを制御する意味を表している。

 昔の人は人と人の間は見えない糸で繋がっていると信じていた。夫婦の間に繋がっている赤い糸があるように、家族、友人、同僚も糸によって結ばれている。縁に結ばれている人は互いに関わり合う中で、前世で完了していない願いをやり遂げるのである。

 縁の中には今世の恩を来世に返す場合もあれば、今生の罪を来世で償うこともある。他人に悪行をして生じた悪縁は、結局自分に返ってきてしまう。そのため、善悪には応報ありと言われている。

(文・浄縁)