中国陝西省で、ファーウェイが手がける電気自動車ブランド「問界(AITO)」の車が道路脇の街灯に衝突して炎上し、運転手が車内で焼死しました。事故の動画はネット上で拡散され、再び大きな批判を呼んでいます。ファーウェイは事故後すぐに情報の封じ込めに動いたとされ、この事故を報じた中国大手の自動車情報サイト「捜狐汽車」も、微博(ウェイボー)のアカウントが発信停止に追い込まれたようです。「さすが党の持ち物だ」とファーウェイを皮肉る声も上がっています。
事故が起きたのは10月17日の夜です。問界の車が道を曲がろうとした際に街灯に衝突し、わずか5秒ほどで車全体が炎に包まれ、運転手は逃げ出せませんでした。ネット上では、火の回りがここまで早いのはバッテリーが一気に燃え上がったからだろうという見方が出ています。「こんなに早く燃え広がったら、ぶつかって気を失ってなくても降りる暇なんてない」と嘆く声や、自動運転機能が原因ではないかと疑う声もあります。
問界側はその後声明を出し、事故当時は「手動運転中」で、速度は時速139.1キロに達していたと説明しました。現場の制限速度は時速50キロだったとしています。また、車が柱に衝突したあと「配線のショートとオイル漏れ」によって出火したとしています。
しかし、現場の動画を見た人たちからは、うそをついて責任逃れをしているとの非難が相次いでいます。動画を見る限り、当時の速度は時速50キロを超えていなかったはずで、どう見てもバッテリーから火が出ているという指摘もあります。地元の人が現場の街灯を撮影したところ、柱はほとんど変形しておらず、すすで黒くなっているだけでした。「時速139キロでぶつかっても壊れないなんて、中国のインフラもなかなかやるじゃん」と皮肉る声も上がっています。
捜狐汽車は10月21日にこの事故を報じて関連のハッシュタグを立ち上げ、一時は微博のトレンド入りしました。ところが翌日、捜狐汽車の微博アカウントは「諸事情により15日間お休みします」と発表し、今後は別のアカウントで更新を続けるとしました。ネット上では、問界の事故を報じたことで微博の運営側から15日間の発信停止処分を受けたとの情報が出回っていますが、今後さらにどのような処分が下されるかはわかっていません。捜狐汽車は、中国の大手ポータルサイト「捜狐(Sohu)」が運営しています。
このニュースが海外のXにも伝わると、「影響力すごいな」「これは民間の車じゃない、党の車だ」「口封じでもはるか先を行ってる」とファーウェイを皮肉る投稿が相次ぎました。「はるか先を行ってる」は、ファーウェイが新製品を発表するたびに口にする決まり文句をもじったものです。
ファーウェイが「口封じ」を疑われるのは、今回が初めてではありません。今月8日、自動車情報サイト「懂車帝(ドンチェディ)」が、自費で購入した「尊界」のV800を3台使って時速100キロからの急ブレーキテストを行い、その様子を動画で公開しました。3台ともブレーキペダルを支える部品が同じ位置で折れたというものです。尊界はファーウェイと中国の自動車メーカー江淮汽車が共同で立ち上げた超高級ブランドで、価格は日本円で2000万円を超えます。ファーウェイ幹部の余承東氏は「1000万元(約2億円)以下で最高の車」とアピールしていました。動画が公開されると尊界V800は一気にトレンド入りし、江淮汽車の株価はストップ安となりました。尊界側は「標準外の極端な条件でのテスト」だと反論し、すでに納車した車については無償でアップグレードに応じるとしています。
その後、懂車帝の検証動画は微博やビリビリなど複数のプラットフォームで通報を受けて削除され、テストの責任者は大量の嫌がらせメッセージを送りつけられました。さらに、ファーウェイのスマホでは懂車帝のアプリが開けず、問題の動画も見られなくなっていると気づいたユーザーも現れました。微博では「ただの不具合ならまだわかるけど、わざと見られないようにしてるなら、怖くてファーウェイのスマホなんて買えないよ」という声も上がっています。
さらにさかのぼると、今年7月末には「竹知了」騒動も起きています。竹知了は日本円で100円ほどで買える竹製のセミのおもちゃで、回すと歓声のような音が鳴ります。ネットユーザーがこの音を、余承東氏が問界の発表会で「1000万元以下で最高のSUV」と語り、会場から歓声が上がった場面と組み合わせ、「1000万元以下で最高のおもちゃ」などとちゃかす動画を作ったのが始まりです。これに対しファーウェイは「企業の信用を傷つける」として複数のプラットフォームに通報し、関連動画が次々と削除されました。ネット通販サイトで竹知了を売る店のレビュー欄まで閉鎖されたという声もあります。ところが消せば消すほど話題になり、竹知了はかえって注目を集めて売り上げが急増しました。ファーウェイ側はその後、通報したのは権利侵害にあたる171件だけで、おもちゃそのものを狙ったわけではないと声明を出しましたが、批判は収まりませんでした。
(翻訳・吉原木子)
