9月14日、看中国記者は来日中の林曉旭(リン・ギョウキョク、Xiaoxu Sean Lin)氏に単独インタビューを行った。林氏は米シンクタンク「Consilium Institute」の現職執行理事であり、中国の人権・信教の自由問題を長年追及してきた。同氏は天安門事件(1989年6月4日)の生存者であり、米陸軍に9年間従軍した経歴を持つほか、ウイルス学の博士号を持つ専門家でもある。
生体臓器摘出、被害者に迫害の証明を求めるべきでない
生体臓器摘出問題をめぐっては、一部の議員や医師から、既存の証言、通話記録、隠し撮り取材、生存者の陳述などの資料について「証拠と呼べる水準にない」「専門学会の議論の場に提出できない」との指摘が出ている。この見解について林氏は、そこには二つの誤りがあると明言する。第一に、臓器移植問題を単なる医学上の論点に矮小化している点。第二に、医学界が真相を知らないと誤解している点だ。
林氏は、昨年出席した世界移植学会の会場で、腎臓摘出・搬送用機器を専門に製造する米企業の営業担当者と話した際のエピソードを明かした。その担当者は、同社がかつて中国の軍系病院に機器を販売していたが、問題を把握した後は「その他の民間病院」向けに切り替え、リスク回避を図ったと認めたという。「つまり、医療業界の人間は皆、中国側でこうした悪事が行われていることを知っている。ただ、利益を優先し、その関与をやめようとしないだけだ」と林氏は語った。
さらに林氏は、多数の西洋人医師が湘雅医学院、中山大学医学院などの機関に赴き、中国側の移植医の育成に協力してきたと指摘する。「少しでも常識のある医師なら、中国でどうしてあれほど短期間に、あれほど大量の臓器を確保できるのか、疑問を持たないはずがない」と林氏は述べる。それでも沈黙が続くのは、「あまりにも邪悪な闇であるため、誰も口にしようとせず、一度暴けば取り返しがつかなくなると考えているからだ」と林氏は分析する。また、ピッツバーグ大学などの機関が研修を受ける中国人医師に対し、習得技術を生体臓器摘出に用いない旨の誓約書への署名を求めている事実についても言及し、これは関係機関が「中国へ帰国した際のリスクを明確に認識していた」ことの裏付けだと述べた。それでも利益を優先し、研修提供を続けてきたという。
立証責任の問題について林氏は、現状をホロコーストになぞらえ、国際社会が被害者側に「迫害されたことの証明」を求めること自体が「馬鹿げたやり方」であり、「責任を被害者集団に押し付けている」と批判した。本来あるべき対応は国際社会による独立調査の実施であるとし、「中国政府はなぜ調査を認めないのか。まさにこの闇を隠しているからではないか」と述べた。
林氏はまた、中国の臓器移植技術がすでに、対外的に「輸出」可能な一連の成熟した仕組みへと発展していると指摘した。マーケティングやAI技術を用いて潜在的な「提供者」を選別し、臓器データベースを構築する段階から、AIを活用したマッチング、臓器の迅速な手配、拒絶反応を抑える薬剤の供給に至るまで、完全な産業チェーンが形成されているという。中国の医師は血液型の適合検査すら行わずに移植を実施することがあり、「1年以内に大きな問題が起きなければ良い」という考え方の下で、問題が生じた場合は病院側が責任を回避できる仕組みになっていると林氏は説明した。林氏はこの仕組みの本質を「殺人を基盤とし、利益が利益を生む構造」と表現し、中国の移植産業の対外協力に伴って他国にも広がりつつあると警告した。
「証拠不十分」との指摘に対し、林氏は「それは完全な欺瞞だ。そう発言する者は、良心に反してまで人を欺いていることになる」と反論した。既存の報道や学術研究を少し冷静に参照するだけでも、こうした主張の問題点は十分に見えてくるはずだと述べた。
中国共産党、AIで生物兵器開発を加速か
臓器移植問題に加え、林氏は、中国共産党がAIを活用してバイオテクノロジー研究を推進していることの潜在的脅威についても踏み込んだ分析を示した。近年、この分野は重大なリスクの一つになっているという。
林氏によれば、AIが登場する以前、ウイルス研究者は、病原体の感染力や伝播力を高めるような遺伝子の変異箇所を見つけるために、遺伝子配列に一つひとつ変異を加えては実験室で効果を確かめるという、地道な「変異スキャニング」(mutation scanning)に頼るしかなかった。これは、狙いを絞らずに一つずつ変異を試しては結果を確認していく、手間と時間のかかる手法だ。しかし近年、AlphaFoldなどのAIツールが、タンパク質の立体構造を予測する能力を飛躍的に高めた。その結果、「かつては膨大な手間を要した変異の探索作業が、大幅に短縮された」と林氏は語る。
林氏は、Anthropic社が最近公表した安全性に関する報告書がこの現象に言及していることを指摘した。同報告書によれば、第三者の研究者が、遺伝子変異によって特定ウイルスの感染能力を高める方法や、AIモデルを用いて蛇毒その他の毒素の構造を解析する方法についてAIシステムに質問した事例があったという。後者について林氏は、こうした研究は名目上「解毒手段の開発」を目的としているが、「その過程で毒素のどの部分が最も重要な部位・構造であるかが分かってしまえば、より危険な毒素を設計することも可能になる」と説明した。さらに、危険性の高い鳥インフルエンザウイルスが種の壁を越えて感染するようになる変異について質問した研究者もいたという。林氏によれば、Anthropic社は法的な懸念から、これらの質問者の身元・出所については非公開としており、詳細を明らかにしていない。
林氏は、中国国内の複数の研究機関が長年、ウイルス関連のハイリスク研究に従事してきたと述べた。また、吉林省のある大学の教授が実際には中国人民解放軍の関係者であり、「鳥インフルエンザに関するさまざまな変異研究を行っている」人物だと告発した。この教授は、研究対象とした遺伝子組み換えの新型ウイルスが「マウスにおいて致死率100%であった」とする論文をすでに発表しているという。
インタビューの最後に、林氏は「ミラー・ライフ」(Mirror Life、鏡像生命)という概念と、それがはらむ危険性について重点的に語った。
この概念を理解するには、まず一つの基礎知識が必要になる。というのは生命を構成する基本物質(例えばアミノ酸)には、原子の組み合わせ(化学組成)は同じでも、立体構造が鏡に映したように反転している「鏡像異性体」という関係だ。ちょうど私たちの左手と右手のように、形はそっくりでも重ね合わせることができない。自然界に存在するあらゆる生物は、この二つのうちどちらか一方の型――「手性(キラリティー)」――だけを使っており、たとえて言えば、生命はすべて「左手版」でできていると言える。

林氏の説明によれば、もし人工的な手法で、ある致死性のウイルスを自然界とは正反対の「鏡像版」(いわば「右手版」)として作り出した場合、そのウイルスは自然界においてほぼ無敵の存在となる。人体の免疫システムは「左手版」の生命を前提として進化してきた認識機構であるため、構造がまるごと鏡像反転した病原体を異物として認識できない可能性がある。その結果、本来起こすべき免疫反応そのものが起こせなくなるという。林氏は、もし中国共産党関連の研究がこの方向へ進めば、その結果は極めて深刻なものになると述べた。
林氏が主宰するシンクタンク「Consilium Institute(神策智庫)」が最近公表した報告書は、中国におけるAIとバイオテクノロジーの融合がもたらすリスクについて、もはや個別・散発的な事案ではなく、体系的な傾向として現れつつあると指摘している。同報告書によれば、中国の研究チームはすでに、こうした「鏡像」生体材料の製造・解析に用いる、国際的にも先端的な技術群を獲得しているという(鏡像DNAの合成や鏡像タンパク質の解析など)。ただし報告書は同時に、自己増殖・自己複製が可能な完全な「鏡像生物」がすでに作り出されたことを示す証拠は現時点では確認されていないとも強調している――つまり、真の意味での「ミラー・ライフ」の実現には、なお距離があるということだ。
報告書はさらに一つの事例として、生成AIによって発見された候補薬がすでに臨床試験の段階に入っていることを挙げている。これは、関連技術がもはやコンピューター上での予測・シミュレーションの域にとどまらず、実際に試験可能な物質を生み出す段階にまで達していることを示しているという。

