8月4日午後11時50分頃、雲南省昆明市にある雲南浩明精細リン化工有限公司の工場内で、大規模な火災が発生しました。情報によりますと、火災は黄リンの積み降ろし作業中に発生しました。漏れ出した黄リンが空気に触れて自然発火し、瞬く間に激しく燃え広がったということです。火災は10時間以上続き、翌5日22時07分になってようやく完全に消し止められました。
火災に伴い、大量の白い有毒な煙が発生しました。煙は、風に乗って急速に拡散し、工場周 辺を覆っただけでなく、工場から約42キロ離れた玉渓市易門県にまで流れ込みました。広範囲にわたって、刺激臭のする白い霧が立ち込める事態となりました。
突然の有毒な煙は、地元住民や周辺の人々の生活と健康に深刻な影響を及ぼしました。易門県の住民によりますと、当初は、空に立ち込めた白い煙を曇り空と勘違いする人もいました。
しかし空気中にはニンニクに似た刺激臭が漂っていました。煙の影響を受けた住民の多くが、目の痛み、喉の腫れや痛み、首の痛み、頻繁な咳などの体調不良を訴えました。さらにSNS上には「血痰が出た」と投稿する人も現れ、地元の不安は一層強まりました。
こうした不安は決して根拠のないものではありません。黄リンの強い毒性こそが、今回の事故で最も懸念されている点です。公表されている資料によりますと、黄リンは工業用白リンとも呼ばれます。空気中で極めて自然発火しやすい、ろう状の固体です。主に化学肥料やリン酸、さらには軍事用の焼夷弾の製造にも使われています。加えて黄リンは、非常に強い毒性を持つ物質でもあります。燃焼時に発生する煙は呼吸器を強く刺激し、吸い込むと呼吸困難や肺水腫を引き起こすおそれがあります。また、症状が数時間遅れて現れることもあります。黄リンが皮膚や目に触れると、重度の化学熱傷を引き起こします。吸入や皮膚接触によって毒素がいったん体内に入ると、嘔吐や腹痛を引き起こします。さらに、肝不全や腎不全といった致命的な多臓器不全に至ることもあります。さらに深刻なのは、現在の医学でも黄リン中毒に有効な解毒剤が存在しないことです。
この事故を受けて、昆明市晋寧区政府はその後、公式に発表を行いました。発表によりますと、事故発生後に従業員と周辺住民1257人が緊急避難しました。火はすでに消し止められ、死傷者は出ていないとのことです。当局は発表の中で「事故によって発生した煙や煤が周辺住民の生活に一定の影響を与えたことを深くお詫び申し上げます」と述べました。
しかしこの発表は、他人事のような対応だとして、雲南のネット上で強い反発と怒りを招きました。さらに「死傷者なし」という当局の発表とは大きく異なる現実を指摘する声が相次ぎました。緊急避難のため、現場周辺のホテルはすでに満室となりました。有毒な煙を吸い込んだことによる頭痛や喉の痛みを訴えて病院に駆け込む人も相次ぎました。たまたま近くを通ったタクシー運転手までもが、体調を崩して入院したといいます。
ネット上では、地元当局の情報開示の遅れに怒りの声が上がっています。「地元当局がだんまりを決め込み、何の通知もなかった」ために、遠くに離れた易門県の住民が知らないうちに大量の有毒ガスを吸い込む結果になったという指摘です。同時に、当局が事故の原因を「積み降ろし作業」に断定したことについても疑問の声が上がっています。臨時雇用の作業員に責任を押し付けたり、事態を単なる事故として片付けようとしたりしているのではないかという見方です。
猛毒物質が漏れ出し、人々の健康に実際の被害が及んでいます。こうした深刻な事態を前に、「深くお詫び申し上げます」という言葉だけでは説得力を欠くとの見方が広がっている。これでは過ちの代償があまりに軽いとの見方も強く、より詳細で事実に基づいた情報公開と、有効な救済策、責任追及を求める声が上がっています。
(翻訳・吉原木子)
