1989年6月4日の天安門事件から37年を迎えたこの日、各国政府や海外在住の中国系民主活動家たちは、中国共産党が最も消し去ろうとしてきた歴史的出来事に改めて思いを向けた。

 在中国の英国大使館は2026年6月4日、六四天安門事件から37年を迎えるのに合わせ、中国のSNS「微博(ウェイボー)」に短い追悼動画を投稿した。16秒の動画には、軍による弾圧の翌朝、戦車の車列の前に立ちはだかったことで知られる「戦車男(タンクマン)」の象徴的な映像のほか、救急車やデモ参加者たちが設置した石のバリケードの様子が収められていた。しかし、この投稿は公開からわずか数秒後に削除され、微博側は英国大使館アカウントに対して制限措置を講じた。

 英国大使館は前年の2025年6月4日にも同様の記念動画を投稿していた。その動画は、中国共産党が機関紙『人民日報』をはじめとする国内メディアから6月4日の記憶をどのように消し去ってきたかを描くもので、2022年の「白紙運動」に至るまで、人々がコロナ禍の厳格な規制に抗議して白紙の紙を掲げた様子などを視覚的な年表としてまとめていた。この動画も最終的には削除されたが、およそ15分間は閲覧可能な状態が続いていた。

英国大使館の天安門事件追悼動画、中国SNSで直ちに削除.
在中国英国大使館は、六四事件37周年を記念する短い動画を微博に投稿したが、中国当局の検閲により削除された。(画像:インターネット上のスクリーンショット)

ルビオ米国務長官「平和的なデモ参加者への攻撃を忘れてはならない」

 米国政府もこの日、天安門事件を追悼する公式声明を発表した。マルコ・ルビオ米国務長官は、在中国アメリカ大使館を通じて次のように述べた。

 「6月4日、世界は中国共産党が天安門広場とその周辺で軍に命じて数千人の平和的なデモ参加者に武力を行使させてから37年を迎えます。命を落とした中国の学生、労働者、その他の市民は、自らの権利を行使し、民主的改革と腐敗に対する責任追及を求めて集まっていました。私たちは彼らの命を記憶し、その遺志を称えます。いかなる検閲も過去を消し去ることはできません。表現の自由と平和的集会の不可侵の権利を守るために犠牲になった人々は、いつの日か正義が証明されるでしょう。」

中国国内では、六四天安門事件を知らない世代が育っている

 1989年6月4日、中国軍は北京の天安門広場とその周辺で民主改革を求めていた学生や市民らに対し、実弾を用いて武力鎮圧を行った。中国政府は死者数を319人としているが、独立系研究者や外国政府は長年にわたり、実際の死者数ははるかに多く、数千人規模に上る可能性があると指摘してきた。北京当局はいまだに完全な犠牲者数を公表していない。

 中国共産党は一貫して学生運動を「騒乱」と位置付け、軍事弾圧を不安定化に対する正当かつ必要な措置だったと説明してきた。しかしその後37年にわたり、中国国内では六四天安門事件に関する公開の議論は全面的に封じ込められてきた。その結果、多くの若い中国人は事件そのものを知らずに成長している。

海外の民主化推進派が説明責任を求め、亡命議会設立に向けた動きを開始

 2026年1月、著名な民主活動家である王丹(ワン・ダン)、陳闖創(チェン・チュアンチュアン)、耿冠軍(ゴン・グアンジュン)らによって設立された「中国議会(臨時)」創設準備委員会は、この記念日に合わせて声明を発表した。声明は次のように述べている。

 「1989年6月3日夜から4日にかけて、中国共産党は独裁的な専制政治を維持するために軍を動員し、平和的な抗議者を容赦なく弾圧した。今日に至るまで、中国共産党当局は歴史の真実を隠蔽し、国境を越えて世界中の反体制派に対する迫害を続けている。」

 声明は、中国国内外の人々に対し、臨時議会に有権者登録を行い、加盟政党が主催する追悼集会や抗議活動に参加し、中国共産党支配の終結、歴史的真実の回復、そして中国の民主化に向けた取り組みを継続するよう呼びかけた。

 「Feng Reng」と名乗る別のユーザーは次のように投稿した。

 「私は『80年代生まれ』の世代として、何十年も中国に住んでいましたが、六四天安門事件の真実を知りませんでした。アメリカに来て初めて、1989年の隠蔽された歴史を真に知ることができました。今日、ここに立って、私はこう言いたいのです。私たちは憎しみのためではなく、真実のために、過去のためではなく、未来のために六四天安門事件を記念するのです。自由と民主主義のために命を捧げた人々を決して忘れてはなりません。中国が一日も早く自由、民主主義、そして人権を実現することを願っています。」

(翻訳・竹内 優子