現地時間5月22日の夜、中国の山西省長治市にある通洲石炭グループ傘下の留神峪(りゅうしんよく)炭鉱で、大規模なガス爆発事故が発生しました。現在までに、この事故による死者は90人に達しています。現場では懸命な救助活動が続けられていますが、時間の経過とともに犠牲者数がさらに増える可能性もあります。
事故は22日の午後7時29分頃に発生しました。当局の発表や現地メディアの報道によると、事故当時、炭鉱の坑道内に設置されていた一酸化炭素センサーが突然、基準値超過の警報を鳴らしました。当時、坑内では247人が作業中でした。炭鉱側は直ちに緊急時のマニュアルに従い、作業員の避難を誘導するとともに関係機関へ通報しました。しかし、想定を超える速さで爆発が起き、事故後の死傷者数は増え続けました。当初の発表では死者8人とされていましたが、その後50人、73人、82人と増加し、23日の夜には死者が90人に達したと公式に発表されています。地元の消防や医療機関、鉱山救護隊が夜通しで連携し、救助に全力で当たっています。しかし、炭鉱側が提供した図面と坑内の実際の構造が一致しておらず、救助隊が坑道を一つずつ手探りで捜索せざるを得ないため、作業は難航しています。また、一部の作業員が規定に反して位置情報確認用のICカードを携帯していなかったことも、捜索を遅らせる要因となっています。
爆発により、坑内は瞬く間に惨状と化しました。救出された人々の証言から、当時の様子が明らかになっています。地上で作業をしていたある従業員は、坑口から巨大な爆発音が聞こえ、「何かが噴き出してくる」のを見たと振り返っています。坑内との電話が通じない中、彼は非常用の呼吸器を2つ背負い、十数本のミネラルウォーターを持って坑内へ救助に向かいました。坑内用のリフトが破損していたため、数千メートルも歩いて作業現場へと向かわなければならなかったといいます。この従業員によると、坑内には異臭が充満し、意識を失った作業員があちこちに倒れていました。その後、生存者同士で互いに支え合ったり、担架を使ったりして負傷者を救出したということです。
坑内にいた作業員たちにとって、状況はさらに過酷でした。坑口に近い作業現場から救出されたある作業員は、爆発音は普段の発破作業と同じように聞こえたと語っています。しかしその直後、強烈な爆風で吹き飛ばされ、粉塵の鼻を突く臭いを感じた後、意識を失ったということです。また、別の作業員は2時間にも及ぶ脱出の様子を語っています。拡声器からのような声を聞き、直ちに外へと避難を始めました。炭塵(たんじん)が舞い、視界が極めて悪く呼吸も困難な坑道の中で、方向だけを頼りに無我夢中で走り続けたといいます。極度の恐怖の中、意識がもうろうとし始めるまで2時間近く走り続け、ようやく脱出することができました。
ガス爆発の破壊力が、今回多くの犠牲者を出した主な要因とみられます。関連データによると、密閉空間でのガス爆発は極めて危険であり、毎秒数百メートルという強烈な爆風を発生させます。これにより、作業員に深刻な身体的ダメージを与えたり、坑道の崩落を引き起こしたりするだけでなく、瞬時にして数千度もの高温を発生させます。さらに致命的なのは、爆発によって地下空間の酸素が急激に消費され、大量の一酸化炭素が発生することです。わずか数秒という避難時間の中で、大量の有毒ガスが急速に人々を窒息させます。報道によると、地元の病院には計27人の負傷者が搬送されており、そのうち1人が重症、26人が軽傷です。担当医師は、負傷者のほとんどが有毒ガスを吸い込んだことによる被害だと説明しています。
事故発生後、中国国務院で安全生産を管轄する張国清(ちょう・こくせい)副首相が現場に急行し、対応の指揮を執っています。また、問題の炭鉱企業の責任者もすでに当局に身柄を拘束されています。公開情報によると、通洲石炭グループは1983年に設立され、石炭の採掘から加工までを一体的に行う大規模な民間企業であり、従業員は3000人を超えます。しかし、同グループ傘下の留神峪炭鉱は、以前から安全上の問題が指摘されていました。今年4月15日に中国の安全監督当局が発表した「災害リスクが高い稼働中の炭鉱リスト」において、山西省では203カ所が「高リスクのガス炭鉱」に指定されており、留神峪炭鉱もそのリストに含まれていました。
世界最大の石炭生産国である中国では、これまでも炭鉱事故が頻発しています。長年にわたり、一部の炭鉱事故の背景には役人と企業の癒着や構造的な腐敗が潜んでおり、地方政府が経済成長や財政収入を優先するあまり監督を怠り、違法な生産を黙認しているという批判が絶えません。また、事故発生後の隠蔽(いんぺい)や報告の遅れ、処罰の軽さ、さらには政府高官が責任を問われるケースが極めて少ないといった問題も指摘されています。実際、山西省では最近も別の死亡事故が起きたばかりです。今年4月2日未明には、同じく山西省内にある別の炭鉱で落盤事故が発生し、4人の作業員が命を落としました。相次ぐ悲劇により、炭鉱の安全管理体制に改めて厳しい目が向けられています。当局は現在、今回の事故の具体的な原因について詳細な調査を進めています。
(翻訳・吉原木子)
