竹尺(イメージ:看中国/Vision Times Japan)

 日本では、子供達が小学校に入学した後、ほとんどの学校で子供たちに竹尺を購入させます。竹尺はとても素朴で、今、売られているおしゃれで性能の良いものと比べれば、少し「時代遅れ感」を感じさせられます。

 竹尺の長さは30センチで、目盛りが端っこから始まり、両端に余白がないのが特徴です。そして、数字が刻まれていないため、子供たちは数字に頼らず、自分の目で目盛りを追いかけ、長さを目盛りから読み取らなければなりません。

 見てみると、竹尺に5センチごとに赤い点が刻まれ、10センチごとに4つの点からなる半円が刻まれていることが分かります。この点は「星」と呼ばれていて、昔、竹に数字を刻む技術が難しかったため、職人達は数字に取って代わってこの点を目印として使ったそうです。この技法は現在も使われています。

 竹の伸縮性が極めて小さいため、大事に使えば、一本の竹尺は100年使っても変形はしないと言われています。その上、色も木目もそれぞれ異なり、厳密に言えば全く同じな竹尺は1本もありません。天然素材ですので、使えば使うほど馴染んできて、その一本の竹尺は子供が一生使い続ける道具になるかもしれません。自然の恵みと先人の知恵が見事に融合したシンプルで使いやすい竹尺は、本当に凄いものではありませんか?

 実は、子供たちが使うこの竹尺を初めて目にした時、私は竿秤(さおばかり)を思い出しました。竿秤は今はもうあまり見かけなくなりましたが、昔は売り場では欠かせないものでした。竿秤の竿は木製で、上には目盛りが刻まれており、はかる道具として竹尺とかなり似ているところがあります。

 古代の中国では、竿秤は1斤(きん)16両(604.78982グラム)となっているそうです。竿には16の目盛りが刻まれ、一つの目盛りは1両(37.7994 グラム)を意味し、一つ一つの目盛りにすべて「星」が刻まれ、それは「秤星」と呼ばれるそうです。話によると、竿秤の竿に刻まれた星は空の星座から由来し、竿の尾端(びたん)には「福の星、禄の星、寿命の星」の三つの星が刻まれていて、商売人に「誠実に商売しよう、約束を守ろう、人を騙さないようにしよう」と注意を促したもので、さもなければ、「1両が足らなければ福をなくし、2両が足らなければ禄をなくし、3両が足らなければ寿命が縮まるのよ」と商売人を常々戒めていました。

竿秤を用いて果物を量る商人の姿(ネット写真)

 伝統的な道具は控えめなデザインで、自己主張もせず、しかし、日常生活の中で、私達に身を処する道理を静かに訴えながら、同時に、伝統と文化の奥深さを感じさせてくれます。伝統を大事にして初めてその豊かな内包を味わうことができるのではないでしょうか?

(文・一心)